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『ガンダム』などアニメに見る「会社員パイロット」の登場 鏡写したる現実の現状は

新統合軍も業務をアウトソーシング

主人公の早乙女アルト(下)は民間軍事会社の社員であって軍人ではない。『マクロスF』キービジュアル (C)2007 BIGWEST/MACROSS F PROJECT・MBS
主人公の早乙女アルト(下)は民間軍事会社の社員であって軍人ではない。『マクロスF』キービジュアル (C)2007 BIGWEST/MACROSS F PROJECT・MBS

「マクロス」シリーズの20世紀に制作された作品群では、巨大宇宙船、後の「マクロス」の地球落下をきっかけにして起こった、世界を二分する大戦争の果てに誕生した地球統合軍と、その地球統合軍を再編する形で誕生した新統合軍に所属する職業軍人が主役を務めています。

 しかし2008年にTV版が制作された『マクロスF』の主人公「早乙女アルト」は「S.M.S」、2016年にTV版が制作された『マクロスΔ(デルタ)』の主人公「ハヤト・インメルマン」は「ケイオス」という組織にそれぞれ所属し、「ヴァリアブル・ファイター(可変戦闘機)」のパイロットとして戦っています。

 ケイオスは、公式設定で星間複合企業体、S.M.Sに至っては軍事プロバイダー、つまり民間軍事会社であると明記されています。すなわち、21世紀に入ってから制作された「マクロス」シリーズの主人公は、会社員パイロットが務めていることになるのです。

 そのように、近作の主人公が会社員パイロットである理由は、劇中で新統合軍が弱体化して、主人公を最新鋭のヴァリアブル・ファイターに乗せにくくなった、というのもあるのでしょう。しかし、現実世界で民間軍事会社が勃興してきた点も、大きく影響しているのではないかと思います。

 現実世界の民間軍事会社は、1980年代後半から1990年代にかけて誕生し、2000年代の「対テロ戦争」で急成長しました。

 主なクライアント(依頼者)は国家で、戦地で必要とされる物資の輸送や建物の建築などといった後方支援を主な生業としており、軍隊や特定の武装勢力、組織、国に対して武装した社員を派遣しての警備や戦闘業務、武装勢力に拘束された人質の救出などの「汚れ仕事」を行う会社もあります。

 またロシアのウクライナ侵攻で大きな役割を果たしたワグネル・グループや、シエラレオネの内戦に参加し一方の組織を一旦壊滅させたエグゼクティブ・アウトカムズ(1998年に解体)のように、なまじの軍隊では太刀打ちできない装備と戦闘経験を兼ね備えた、直接戦闘に参加する会社も出現しています。

 2024年6月27日付のCNNは、アメリカのジョー・バイデン大統領が、アメリカ国籍の民間軍事会社をウクライナに派遣することを検討していると報じました。

 ただ、派遣が検討されている民間軍事会社は直接戦闘を行うのではなく、主にウクライナへ供与されたアメリカ製兵器のメンテナンスなどを行う会社のようです。とはいえこれが実現すれば、正規軍の派遣に比べてハードルが低い民間軍事会社の派遣はアメリカ外交にとって大きな転換点となるだけでなく、民間軍事会社の地位もまた一段と上がることは必至です。そしてそれが、アニメの主人公や登場人物の「職業」にも、少なからず影響を与えていくのではないかと思います。

(竹内修)

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