『ボトムズ』の最終回って覚えてる? 主人公補正の究極「キリコ」の辿った運命とは
至近距離からマシンガンを撃たれようが、大多数の敵に囲まれようが、どんな窮地に陥っても必ず生き残る男――それがアニメ『装甲騎兵ボトムズ』の主人公、キリコ・キュービィーです。なぜ彼は、数多の死亡フラグを回避することができたのでしょうか。
キリコ・キュービィーはなぜ死なない?

どのようなピンチが訪れても主人公だけは必ず生き延びる……そのような現象を「主人公補正」と呼ぶことがあります。いまからおよそ40年前、サンライズ(当時は日本サンライズ)によって制作されたTVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』は、まさにこの主人公補正をエンタメとして存分に活かしたアニメでした。
しかも同作が面白いのは、「なぜ主人公が無敵なのか」ということについて、作中ではっきりと理由が説明されていたことです。
同作は『太陽の牙ダグラム』や『蒼き流星SPTレイズナー』などで知られるロボットアニメの巨匠、高橋良輔さんが原作と監督を務めており、これまでサンライズが送り出してきたリアルロボットアニメのなかでも「最高峰」との呼び声があります。
放送から40年以上経ったいまでも新しいフィギュアが続々と展開され、放送40周年を迎えた2023年には「装甲騎兵ボトムズ40周年展~大河原邦男、塩山紀生のイラストをジオラマで体感せよ~」が開催されるなど、多くの人から愛され続けています。
その魅力は泥臭い戦闘描写やミリタリー色の強いロボットデザインなど実にさまざまで、なかでも特筆すべきなのが主人公「キリコ・キュービィー」の存在でしょう。幼い頃から戦争しか知らなかった寡黙で無愛想な青年で、戦闘に関する能力はピカイチです。「アストラギウス銀河」を二分する「ギルガメス」と「バララント」の百年戦争において、兵士として異常なまでの才能を発揮していくこととなります。
そもそも『機動戦士ガンダム』や『太陽の牙ダグラム』などのように、『装甲騎兵ボトムズ』以前に放送されたサンライズのリアルロボットアニメでは、未成熟な主人公が機体のスペックに助けられながら成長していく……というのがある種のお決まりパターンでした。
それに対してキリコは、物語のはじめから「最強」の存在として登場します。搭乗機体である「スコープドッグ」は、ありふれた量産機のひとつで、ときに敵の機体を奪って乗り換えたり、スクラップを組み合わせて新しい機体を作ったりと、キリコは自身の腕ひとつで窮地を脱していくのです。兵士として完璧といいたくなるような人物像に、多くの人が虜(とりこ)になったことでしょう。
おまけにキリコは、どんな状況に置かれても絶対に死なないという特異体質の持ち主でした。たとえ至近距離からマシンガンを撃たれようが、大多数の敵に囲まれようが、奇跡的に生還して死ぬことがないのです。
のちに「異能生存体」と呼ばれるこの特性は、広いアストラギウス銀河においても該当者はキリコただひとりでした。そしてその謎めいた性質は、TV版終盤のストーリーにも大きく関わっていくこととなります。その理由を語るうえで欠かせないのが、同作のラスボス的存在である「ワイズマン」でした。







