最終回が「むごすぎる」 見届けるにも覚悟の要るロボアニメ『勇者ライディーン』とは
「いけない! 母さん! いけない!」
さて、『勇者ライディーン』第50話(最終話)「輝け! 不死身のライディーン」は、最終決戦だけあってかなり凄惨な戦いが繰り広げられます。
ひびき洸の母「レムリア」の祖国である「ムー帝国」、かつてこれを滅ぼした「妖魔大帝バラオ」は、地上侵略のために多くの「巨烈獣」を送りこみましたが、ライディーンと人類の決死の抵抗によりほぼすべての戦力を失いました。それでも神秘の超エネルギー「ムートロン」を諦めきれなかったバラオは、ついに自らが立ち、地上への侵攻を開始したのです。
ライディーン単独の力では到底、バラオにはかないません。バラオを倒すためにはレムリアが所持するムートロンの増幅装置「ラ・ムーの星」を使用する必要があるものの、それはレムリアの死を意味していました。
母の命を守るため遥かに巨大なバラオに立ち向かおうと、ライディーンとともに出撃した洸でしたが、全く歯が立ちません。一方的に蹂躙されるライディーンを見たレムリアは、ついに覚悟を決めて「ラ・ムーの星」の発動に踏み切ります。
ムートロンの光に包まれたライディーンは、バラオとほぼ対等の大きさにまで巨大化し、そして最後の戦いが始まりました。必殺の「ゴッド・バード」もバラオには簡単には通じません。炎で撃墜され、触手に捕らえられながらもかろうじて状況を打開し続けた洸は、自身も傷つきながら、少しずつバラオにダメージを与え続けます。
しかしバラオも強者です。ゴッド・バードでまっすぐ突っ込んできたライディーンに対し、2本の剣を突き立て大きな損傷を与えました。苦痛に悶える洸は、それでもライディーンの動きを止めることはありません。ゴッド・バード形態のままバラオに突っ込むと、なんと突き立てられた剣を利用してそのままバラオを引き裂き、長きにわたる戦いに終止符を打ったのです。
死闘の末にバラオを倒した洸、しかしその顔に喜びはありませんでした。母であるレムリアが力を使い果たし、洸の腕のなかで息絶えてしまったのです。レムリアの遺体は突然、現れた空飛ぶ船に回収され、洸の「母さーん!」という絶叫が響くなか、夕陽の彼方へと姿を消しました。
生き延びた人間たちは、復興のために働かなければいけません。戦い続けたライディーンは、これからは復興のために使われると示唆され、『勇者ライディーン』の物語は幕を閉じたのでした。
(早川清一朗)