「声優業界」を作ったルパン三世役、故・山田康雄氏 訃報にふたつの驚きが
山田康雄氏の訃報に驚いた理由

1995年、山田氏が亡くなったというニュースが流れた時、筆者は「山田康雄さんが亡くなったの!?」「声優が亡くなったニュースがTVで流れている!」というふたつの驚きに見舞われました。
今は声優が亡くなれば、すぐにニュースとなってSNSを飛び交います。しかし昔は声優や俳優が亡くなったとしても、出演番組の放送時に「XX役のXXさんがX月X日に亡くなられました」と画面上にテロップが表示される程度の扱いでしかありません。そのような光景を何度か見ていた筆者にとって、山田氏の死がニュースとして流れたことは大きな衝撃でした。それだけ、「山田康雄」という人物は偉大だったということでしょう。
各TV局は次々と山田氏を追悼する特集を放送していたのですが、残念ながら翌20日に地下鉄サリン事件が発生し、山田氏の死は情報の海に埋もれてしまいました。もしあの事件がなければ山田氏に関するエピソードをもっと知ることができたかもしれないと考えると、本当に残念です。
それでも山田氏が残した功績と、数多くの作品群は健在です。山田氏のひょうひょうとしながらも芯の通った声は、クリント・イーストウッドの吹き替えやルパン三世、そして『宇宙の騎士テッカマン』に登場したアンドロー梅田の顔と一緒に、今でもいつでも脳裏に思い浮かべることができます。
正直な話、今でも山田氏が亡くなったことをあまり実感できてはいない自分がいます。会おうと思えば、作品を観ればいつでも会えるのですから。
(早川清一朗)