『ガンダム』超高速で迫ってくるドム怖っ! 「ホバー移動」の機体が普及しなかった謎
答えはジオンが量産した「航空機」にある?

ホバー移動する機体が普及しなかった理由として、筆者はその答えが「ド・ダイYS」にあるものと思います。
「ド・ダイYS」はMSを直立させたまま搭載して、飛行させられる航空機で、空気抵抗を考えるなら、より「ジオン脅威のメカニズム」度が高い機体です。ジオン軍はこの航空機を量産しており、グフやザクを飛行して運搬したほか、対地攻撃機としても使用しました。
アニメ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』では、早くも後継機となる「ド・ダイII」が登場しており、『機動戦士Zガンダム』などの続編で大量に登場する「サブ・フライト・システム」が、当初から有効だったことがうかがえます。
『機動戦士ガンダム」第23話では、グフを搭載した状態でド・ダイが対地攻撃を行った描写もあります。そう考えるなら、ドムが地上を90km/hで巡航し、最高速度380km/hで目標を襲撃できるとしても、「ド・ダイでMSを運ぶ方が、より高速で運搬でき、戦術も広がり、地形の制約も受けにくい」と考えるのは無理もないと思います。
また、一年戦争中でもMSの性能は長足の進歩を遂げています。ガンダムはホバー移動こそできませんが、スラスターによる短時間の飛行性能を持っていますし、戦争後期に登場した「ケンプファー」は、コロニー内をスラスターで滑空移動していましたから、同様、あるいはそれ以上の短時間飛行能力を有していたと考えられます。
MSが自ら飛行できるのであれば、障害物は飛行して飛び越えればよく、重量が増えて、整備性も悪そうなホバー移動装置は好ましいものではなかったのでしょう。実際、劇中で問題がある描写はされていないものの、両足が接地していない状態での射撃や白兵戦は、安定性を悪化させると考えられ、命中率への悪影響もあったと考えられます。
結論として、戦略的な移動力は、サブ・フライト・システムに、戦術的な運動性能はスラスター出力の増大や、変形により代替され、後の時代で必要性がなくなった技術が「MSのホバー移動」なのだろうと推測します。
公式ではありませんが、ゲームブック『機動戦士Zガンダム ジェリド出撃命令』には「ガンタンクホバー」という敵MSが登場し、高出力ビーム砲と高い移動力で、「ジェリド・メサ」の「ハイザック」に立ちはだかりました。このような機体が存在していたとしても、それは時代のあだ花ということなのかもしれません。
(安藤昌季)



