20kg増減は当たり前…な訳ないよね? 過酷な「肉体改造」で再現された実写化キャラ
2次元ならではの鍛え上げられた肉体を持つキャラクターの再現は、実写化作品で大きなハードルとなります。しかし、20kg以上の体重の増減という、過酷な役作りによって実現されたキャラクターもいました。
2次元的なビジュアルの背景には、血の滲む努力が!
現実ではいなさそうな荒唐無稽な人物が多数出てくるマンガの実写化作品においては、筋骨隆々のキャラクターを演じるために肉体改造に挑む俳優も少なくありません。並々ならぬ努力を重ねた結果、「もう本人じゃん」「再現できなくない? と思ったけど、ここまで寄せてくれるなんて」と、原作ファンも納得する作り込みになったケースもありました。
実写化に向けた肉体改造といえば、やはり鈴木亮平さんをイメージする方も多いのではないでしょうか。映画『俺物語!!』ではいかつい男子高校生「剛田猛男」を演じるのに約30kgもの増量を、『HK 変態仮面』ではバキバキの肉体を持つ主人公「色丞狂介」を演じるため一度15kg増量したうえで脂肪を削ぎ落とすという、ストイック過ぎる肉体改造を行っています。
そんな鈴木さんをはじめ、実写化作品では数々の俳優たちが「2次元」ならではのキャラクターを再現するため、過酷な肉体改造に挑戦してきました。
●『幽☆遊☆白書』で綾野剛が演じた「戸愚呂弟」
2023年にNetflixオリジナルドラマとして配信された『幽☆遊☆白書』は、イケメンキャラの「蔵馬(演:志尊淳)」や「コエンマ(演:町田啓太)」など、いかにも2次元的なキャラクターも多く、公開前は実写化できるのか疑問に思うファンも少なくありませんでした。
しかし、追加キャストとして、強敵である「戸愚呂兄弟」役で滝藤賢一さん(兄)と綾野剛さん(弟)のビジュアルが公開されると、「意外にありかも」「完成度高くて笑った」と好意的な意見も出るようになります。
普段はサングラスをかけた大男で、時折ユーモアにあふれた発言も見せる戸愚呂弟は、自在に増強できる筋肉によって圧倒的な戦闘力を持つ悪役で、原作屈指の人気キャラでした。
全身が筋肉の塊のような見た目となる100%の姿はCGを使って再現されていましたが、綾野さんは通常の状態である戸愚呂弟を演じるため、約3か月というわずかな準備期間で肉体改造を行い、10kgの増加をもとに演じていたことをラジオ番組「THE TRAD」出演時に明かしています。
ティザー映像では、雇い主である「左京(演:稲垣吾郎)」から「新しい仕事の依頼だ」と声を掛けられ、暗闇から戸愚呂兄を肩に乗せたまま「面白い案件だと良いけどね」と静かに現れる強烈な登場シーンがありましたが、非戦闘時でも感じられる筋骨隆々なビジュアルはまさしく戸愚呂弟だといえるでしょう。
また、綾野さんは実写映画『亜人』でも、主人公「永井圭(演:佐藤健)」の宿敵で元軍人のキャラクター「佐藤」を演じるため、撮影か月半前からトレーニングを行っていました。
撮影前のギリギリの時間まで筋トレを行う本気の役作りには、監督をはじめとする製作陣も「(筋肉が)CGのよう」と驚愕の声があがっていたようです。
●『ゴールデンカムイ』で勝矢が演じた「牛山」
マンガ『ゴールデンカムイ』の実写映画は、原作で筋骨隆々のキャラクターが勢ぞろいしていることから「本当に再現できるのか」という疑問の声も多く聞かれていました。
なかでも、作中屈指の強じんな肉体と常人離れした怪力を持つ柔道家の「牛山辰馬」は、「ここまで体格の良い俳優もいないのでは」「圧倒的最強キャラだからムズい」とファンの間でのキャスト予想でも、これといった名前が挙げられずにいる状況でした。
その牛山を演じたのは、過去にも『テルマエ・ロマエ』で主人公「ルシウス」の友人「マルクス」や、『あしたのジョー』の「マンモス西」など、マンガキャラも演じた実績のある勝矢さんでした。柔道の鍛錬で硬くなった、額にあるはんぺんのような四角いコブは特殊メイクも再現され、さらに大柄で「不敗の牛山」とも称されるほどの肉体は、「もはや本人」「よく見つけてきたな」とファンから絶賛されています。
もともと強面の悪役も演じることが多く、大柄な勝矢さんでしたが、「牛山を演じるには、太ったおじさんではダメ」という思いから約20kgもの減量を成功させたことをインタビューで明かしています。
さらに勝矢さんは違和感のないを演技ができるよう、知人の柔道家から柔道を教わったそうです。体格はもちろん、細かい所作も原作に近づけるよう本気で役作りに挑んだからこそ、強烈な強さと個性を持つ牛山の再現度が高かったのかもしれません。今後の続編ドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』では、アニメでも映像化されなかった「ヒグマの背負い投げ」の場面にも期待が高まります。