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実写『デビルマン』公開20周年 何が「大問題」だった? 再鑑賞で新たな「発見」も

オリジナル要素として褒めたい「ミーコとススム」の大きな改変

原作マンガ『画業50周年愛蔵版 デビルマン』1巻(小学館)
原作マンガ『画業50周年愛蔵版 デビルマン』1巻(小学館)

●素直に褒めたいオリジナル要素も

 問題点の話が長くなってしまいましたが、もちろん素直に優れていると思える点もあります。そのひとつがVFXのクオリティーです。さすがに予算が10倍ほども違うハリウッド大作と比べると分が悪いですし、やや動きの固さを感じるところもありますが、スピード感や迫力はなかなかのもので、攻撃が当たる瞬間に劇画タッチへ変わる演出もスタイリッシュですし、デビルマンの造形そのものもダークでとてもカッコいいものでした(その良質なアクションの最中に、気の抜けたような演技の主演俳優の声が聞こえるのが、致命的ではあるのですが)。

 映画オリジナルキャラクターとして、「牛久雅夫(演:仁科克基)」という明の同級生を創造したのも良いアイデアです。原作でジンメンに襲われる少女「サッちゃん」の代わりでもある存在で、序盤に語られる過去のエピソードはインパクトがありますし、明の優しさを際立たせる友人の役回りとして意義を大いに感じさせました。

 そして、原作の物語上では悲惨な扱いだった「ミーコ(演:渋谷飛鳥)」と「ススム(演:染谷将太)」というキャラクターを後半のメインの物語に据えて、その逃避行を描いていることです。迫害を受けた少女と、両親が豹変してしまった少年という、ふたりの悲しい旅路を描くオリジナル要素を備えたことは、掛け値なしに支持できます。絶望的な世界で逃げ切れる説得力に欠けているという問題もありますが、ミーコ役の渋谷さんの凛とした存在感も印象的ですし、ススムを演じる幼き日の染谷さんの美少年ぶりも見どころでしょう。

●安易に「実写映画版『デビルマン』級にひどい」などとは言ってはならない理由

 改めて『デビルマン』の実写映画を観て、さらに原作マンガを再読して実感したのは、そもそもの『デビルマン』が人間の業や罪を克明に描いた不朽の名作であるとこと、そしてこの20年で、ここまで演技の拙さや整合性の欠如などのクオリティーの低さが結集した映画は、他には生まれなかったという事実です。

 だからこそ、「駄作」と思える映画を観たとしても、安易に「実写映画版『デビルマン』級にひどい」などとは言ってはならないと思えます。2022年に物議をかもした『大怪獣のあとしまつ』も「令和のデビルマン」などと揶揄(やゆ)されましたが、そちらは「狙って」ナンセンスギャグのオンパレードにした内容で、本質的なひどさのベクトルは異なります。何より、実写版『デビルマン』を観ればこそ、そのあらゆる方向での突き抜けぶりは、そうそうたどり着けるものではないと思えるはずです。

 そして、近年では続々と優れたマンガの実写映画化作品が生まれており、実写映画という時点で十把一絡げに「ダメ」と決めつけるような風潮は次第に薄れている印象もあります。そのなかでも、やはり悪い意味で歴史に名を残し続ける実写映画版『デビルマン』は、反面教師的な意味で観る価値があります。

 なお、『デビルマン』の原作マンガを映像化した作品には、2018年にNetflixで配信されたアニメシリーズ『DEVILMAN crybaby』もあり、こちらは高く評価されています。劇場公開時にR15+指定されるほどのエログロも容赦なく描いた内容のため人を選びますが、『デビルマン』が何を描こうとした内容なのかは、その強烈な描写でこそ実感できるでしょう。この機会に実写映画版『デビルマン』を観て、それをきっかけに原作マンガや『DEVILMAN crybaby』でその奥深さや作品そのものの意義を知るのもいいはずです。

※記事の一部を修正しました。(2024年10月9日 21:48)

(ヒナタカ)

【画像】え…っ? 「普通にカッコよくね」「隠し過ぎ」 こちらが当時話題になった実写『デビルマン』の「冨永愛ver.シレーヌ」です(3枚)

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