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一周回って「伝説」に… 見れば元気(?)になれるアニメの作画崩壊3選

アニメ作品において、作画はいうまでもなく重要な要素のひとつです。本来であれば絵の造形が崩れる、いわゆる「作画崩壊」はネガティブな要素でしかありませんが、一周回って伝説となり、いまなおアニメ界隈で語り草となっているものも存在します。

あれ? 今ヒロインの口が……

『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』キービジュアル (C)2018 恵比須清司・ぎん太郎/KADOKAWA/いもいも製作委員会
『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』キービジュアル (C)2018 恵比須清司・ぎん太郎/KADOKAWA/いもいも製作委員会

 アニメの「作画崩壊」にはネガティブなイメージが付きまといがちです。しかし一周回って伝説となり、作品を話題作の地位へと引き上げることもあります。今回は見ればつい笑ってしまう、元気になれるアニメの作画崩壊をあげていきます。

●『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』

 美少女アニメといえば、作画のクオリティが登場人物たちのかわいらしさ、ひいては作品の魅力に直結します。そのため作画崩壊が忌避されがちなジャンルといえそうですが、『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(以下、いもいも)は美少女アニメでありながら作画崩壊がある意味魅力となりました。

 同作の作画崩壊は、第2話で起こります。放送後半、マンパワーの不足から作画崩壊を起こすアニメは多々ありますが、これほど序盤から作画が安定しなかった作品は後にも先にも『いもいも』だけではないでしょうか。しかも放送が進むなかでクオリティが回復するどころか、後々まで語り継がれるような面白い作画崩壊を連発します。

 なかでも特筆したいのが、主人公の妹「永見涼花」の口が分離した第4話です。涼花が身を乗り出してしゃべるちょっとしたシーンですが、なぜか涼花の口とは別にもうひとつ、宙に浮いた口が描かれるというなんとも奇天烈な場面が映し出されました。これに関しては作画崩壊というより怪奇現象といったほうが正しいかもしれません。

 そのほかにもシーンの切り替えでいきなりスマホがガラケーに変わったり、妙にガタイのいい妹が描かれたりと、多くの伝説的なネタ回を生み出しました。

●『EX-ARMエクスアーム』

 比較的作画が安定している令和のアニメのなかにも、凄まじい作画崩壊によって伝説となった作品があります。2021年に放送された『EX-ARMエクスアーム』は、まさにそのひとつに数えられるでしょう。

 何より同作は3Dアニメでありながら、作中に2Dのイラストが混在する世にも珍しい作品でした。例えば主人公の「夏目アキラ」は3Dなのに、その隣にいる兄の「夏目柊一」は2D、第1話でアキラがチャーハンを作るシーンにおいても、フライパンは3Dなのにチャーハンは2Dで描かれているなど、違和感とツッコミどころが満載です。

 ほかにも同作の迷シーンを挙げたらキリがありませんが、こうした3Dアニメ独特の作画崩壊は「クセになる」と一部視聴者の間で人気を博しました。いまなお作画目的で視聴する人も多く、ネット上では「令和のダイナミックコード」として語り草になっています。

●『メルヘン・メドヘン』

 あまりにも作画崩壊が凄まじい場合は、放送を延期してクオリティの改善に努める対応策がとられることもあります。しかし『メルヘン・メドヘン』は、そうした措置をとったのにもかかわらず、むしろ悪化して戻って来た伝説的な作品です。

 同作は物語が進むにつれて、キャラクターの造形が崩れるなど作画に乱れが生じていました。そこで制作側はクオリティアップをはかるため、第9話の放送延期に踏み切ります。

 しかし2週間ぶりに放送された第9話は、それまで以上の作画崩壊回でした。キャラの顔が崩れているのはもちろんのこと、主人公の「鍵村葉月」が持ってきたサンドイッチすらも作画崩壊を起こしており、それを友人がわしづかみして食べるというシュールな絵面が繰り広げられました。

 こうした背景もあってなのか、第11話と第12話の放送は約1年後の2019年4月まで延期されることになります。おかげで両エピソードの作画はグンと良くなったうえ、その後に一挙放送された修正映像版では、第9話のサンドイッチも含めてしっかりとクオリティアップしていました。

 最終的には原作ファンや美麗な作画を期待していたアニメファンを満足させる作品となり、同作の作画崩壊と放送延期にまつわるアレコレは、いまや笑い話として語られるようになっているようです。

(ハララ書房)

【画像】「もはや怪奇現象」「顔の造形がえらいことに…」 作画崩壊の餌食になったヒロインたち(5枚)

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