劇場版『ボルテスV』実は42年前にもあった幻の映画企画とその内容 当時の記事を発掘
幻の『ボルテスV』劇場版とは

『ボルテスV』が放送されていた1977年といえば、『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版が公開され、アニメブームが始まった時期でもありました。
こういった背景から中学生や高校生、大学生といった層にもアニメを視聴する人は少なくなかったのです。特に『ボルテスV』に注目した層には女性が多くいました。敵役であるハイネルに魅力を感じたわけです。
かつては『勇者ライディーン』の「プリンス・シャーキン」、『コン・バトラーV』の「大将軍ガルーダ」、本作の後番組となる『闘将ダイモス』の「リヒテル提督」に本作のハイネルを加えた4人を「美形四天王」と呼ぶ人もいました。ちなみに、これら4人のキャラクターの声は、すべて市川治さんが担当しています。
私見ですが、このなかでもハイネルの人気は特に高く、女性ファンにとっては今でいう「推しキャラ」といえる存在でした。その人気から当時、ファンのあいだで生まれつつあったアニメ系二次創作同人誌で多く取り上げられるようにもなります。
このハイネル人気に関する傍証として、当時のアニメブームを支えた「ロマンアルバム」(徳間書店)での扱いが挙げられるでしょう。ロマンアルバムとは、当時としては珍しいアニメムック本シリーズで、その売れ行きも好調でした。このロマンアルバムで、ハイネルは敵役として初めて表紙でセンターを飾っています。
こうした実績を見ていくと、一般的にはけっして高い認知度のあった作品とはいえなかったかもしれませんが、アニメが好きなファン層には知名度の高い作品だったといえるでしょう。そして、『ボルテスV』には幻の劇場版企画というものもありました。

『ボルテスV』の劇場版は、雑誌「アニメージュ」(徳間書店)に情報が掲載されたこともあります。それによると、1982年2月号で制作が発表されており、TV版の再編集ではあるものの、一部に描き起こしのカットも入ると記事にはあります。1982年秋以降に、東映系で全国公開の予定とも記載されていました。
翌月の3月号ではカラー1ページで紹介されています。この情報は毎月のように更新されていました。4月号では2万人にも及ぶ署名が集まったこと、TVシリーズのメインスタッフの集結、新キャラクターの登場、プロデューサーには飯島敬さんの名前も挙がっています。
ところが徐々に情報は小出しになっていき、5月号では上映時間は2時間くらいを予定、6月号には公開は12月頃になるかも、7月号には進行ストップ状態、8月号には正式に製作中止と記されていました。
こういった経緯から、今回の『ボルテスV:レガシー』の劇場公開を、「42年ぶりのリベンジ」ととる人もいるようです。筆者も当時を知るひとりですから、こみ上げてくるものを感じざるを得ません。
後年、日本国内では大きな動きがないことで存在が埋没していった『ボルテスV』が、この機会にふたたび脚光を浴びることを願っています。
(加々美利治)

