今夜の金ロー『名探偵コナン 紺青の拳』 怪盗キッドは歴史上に実在した!?
劇場アニメ「名探偵コナン」シリーズの主人公・江戸川コナンと好敵手の関係にあるのが、怪盗キッドです。芸術を愛し、コナンと協力して凶悪事件を解決し、空を舞うキッドのような怪盗紳士は、現実世界に実在したのでしょうか。犯罪の世界史をひも解いてみました。
江戸川コナンのライバルで、よきパートナー

シリーズ最大のヒット作となった劇場アニメ『名探偵コナン 紺青の拳』(2019年)が、2020年4月17日(金)21時から「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)でテレビ初放送されます。シリーズ第22作となった『紺青の拳』は、主人公・江戸川コナン(CV:高山みなみ)に加え、コナンの好敵手である怪盗キッド(CV:山口勝平)も大活躍します。
シリーズ初となる女性監督・永岡智佳さんが起用され、蘭(CV:山崎和佳奈)の親友・園子(CV:松井菜桜子)と高校生格闘家・京極真(CV:檜山修之)との胸キュンなラブロマンスも見どころです。シンガポールを舞台に、「紺青のフィスト」と呼ばれるブルーサファイアをめぐるミステリーが張り巡らされ、アクションシーンも満載。興収はなんと93.7億円を記録しました。
神出鬼没な怪盗キッドですが、彼はいったい何者なのでしょうか。原作者・青山剛昌氏のファンなら言わずもがなですが、青山氏の初めての連載漫画『まじっく快斗』の主人公・黒羽快斗がその正体です。『名探偵コナン 世紀末の魔術師』(1999年)にゲストキャラとして登場して以来、時にコナンのライバルであり、時に共闘して凶悪犯罪に立ち向かいます。コナンの本来の姿である高校生・工藤新一にも、たびたび変装します。悪と善の二面性を持つ興味深いキャラクターです。
「悪の天才」モリアーティ教授のモデル
暴力を嫌い、盗みを芸術的行為と考えるキッドですが、彼のような犯罪美学を持った怪盗は実在するものでしょうか。文献を調べてみたところ、「怪盗」は歴史上に存在しました。まずは「犯罪界のナポレオン」と呼ばれたユダヤ系米国人のアダム・ワースを紹介しましょう。
アダム・ワースは19世紀後半に、米国から欧州を股にかけて暗躍しました。暴力を使うことを好まず、頭脳を使って、次々と宝石類を盗み出しました。仲間を見捨てない、律儀な性格だったそうです。作家のコナン・ドイルは彼をモデルにして、『名探偵ホームズ』に登場する「悪の天才」モリアーティ教授を創作したと言われています。
アダム・ワースの名前をより有名にしたのは、1876年にロンドンの画廊から絵画「デヴォンシャー公爵夫人」を盗み出した事件でしょう。アダム・ワースは警備の厳しい画廊から、大きな額に収まっていた絵画を取り出し、くるくるっと丸めて外へ運び出したそうです。絶世の美女と謳われた公爵夫人の肖像画を、彼は25年間にわたって大切に保管し、自身の死期を悟ると画廊に返却を申し出ました。その際の彼の言葉は「この夫人は家へ帰るべきだと思うんだが」でした。かなりのシャレ好きだったようです。