イケメンが“残念”な姿に… 面白すぎて内容が全然入ってこない作画崩壊アニメ
アニメのとんでもない作画崩壊が見られたのは、遠い昔の話だと思っていませんか? 確かに近年のアニメは、ひと昔前の作品と比べて作画が安定しているイメージがあります。しかし平成後期から令和にかけて放送されたアニメのなかにも、抱腹絶倒の作画崩壊で視聴者に衝撃を与えた作品が存在しました。
ホントに令和のアニメだよね?

アニメを見るファンの目が年々厳しくなる昨今、なかでも集中砲火を浴びやすいのが作画のクオリティです。キャラクターの造形が崩れようものならネット上で「作画崩壊」などと批判を集めますが、その崩壊ぶりが一定のラインを超えると、逆にネタとして語り草になることがあります。
ひと昔前の作品を例に挙げると、2006年に放送されたアニメ『夜明け前より瑠璃色な』の作画崩壊、通称「キャベツ」はあまりにも有名です。ヒロインが料理対決をするエピソードのなかでキャベツを千切りにするシーンが登場したのですが、そのキャベツがなんのシワもない、まるで黄緑色のボールのように描かれていたことで注目を集めました。
何より面白いのが、この事件以降、アニメファンが他の作品でもキャベツの作画に注目するようになり、アニメーターたちもそれを意識するようになったことです。他が作画崩壊していてもキャベツの作画だけはしっかりしているという作品まで見られ、アニメ業界に多大な影響を及ぼしました。
では平成後期から令和にかけて放送されたアニメはどうでしょうか? この頃の作品は比較的作画が安定しているようなイメージがありますが、実は作画崩壊が話題となった作品は意外と多く存在します。
2018年に放送された『千銃士』は、古銃を擬人化した「貴銃士」たちが活躍するスマートフォン向けアプリゲームが原作で、サービス開始から約4か月という異例の早さでアニメ化を果たしました。
しかしそうした過密スケジュールが仇(あだ)となったのか、物語が進むにつれてキャラの造形が定まらなくなり、作画がどんどん不安定になっていきます。視聴者から「2000年代前半のアニメに見える」と言われるほどで、せっかくのイケメンたちもことごとく残念な姿に……。最もひどいときには、顔の輪郭から口が飛び出るという珍現象まで見られ、知る人ぞ知る伝説の作画崩壊アニメとして語られているようです。
実は令和に入ってからも、アニメの作画崩壊が話題になったことがありました。日本中がラグビーブームに沸いた2019年放送の『トライナイツ』は、高校ラグビーを題材にしたオリジナルアニメです。製作には日本ラグビーフットボール協会や、元ラグビー日本代表の大畑大介さんも携わっており、若いファンを取り込もうというラグビー界の熱意がうかがえました。
しかしアニメの出来はお世辞にも良いと呼べるものではなく、まずスポーツアニメにもかかわらず、ラグビーの躍動感はほぼ皆無です。それに加えてコロコロ変わる登場人物たちの顔、不可思議な顔と身体のバランス、ラグビー部キャプテンの独特すぎる走り方など、笑える作画崩壊が目白押しでした。
こうした数々のツッコミどころを受けて付いた呼び名が、「令和のダイナミックコード」です。黒板の文字ひとつをとってもツッコまずにはいられない『トライナイツ』は、確かに抱腹絶倒の作画崩壊によってアニメ史に名を刻んだ『ダイナミックコード』に引けをとらないかもしれません。
(ハララ書房)