毛布をかけてほしい愛猫　めくって中身を見てみると…異次元っ！？

「猫包み」の中身は…？

　漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。迷子さんの愛猫は、眠る時に毛布をかけてもらいたがります。

　そしてできあがる「猫包み」！　ついめくってみたくなりますが……。

＊　＊　＊

　うちの猫は寝るとき何かをかぶるのが好きらしい。

　多分子猫の頃からそうしていたからなのだろう。眠くなるとソファの上でよりフィットする場所を探し、足元を揉み、そのうち丸くなる。そして眼光鋭くこちらを見つめる。「かぶせろ」の意味だ。目は口ほどに物を言うとはまさにこのこと。仰せのままにと小さな毛布をかぶせると、何度か深く呼吸をしてそのうち眠ってしまう。眠っている内に何度も自分で体位変え寝返りを打ち、毛布を自分の体の下に巻き込んでいく。

　私はこの猫包み（ねこぐるみ）が好きだ。触れると温かく、よくよく見るとほんのわずかふくらんだりしぼんだりして呼吸をしているのが分かる。このまま『命』というタイトルを付けてしかるべきところに提出したら現代アートとして評価されないだろうか。途中で逃げてしまって毛布だけ残っていても『命』という感じで最高だと思う。

　そんな猫包みのもっと最高なところは、なかの様子がさっぱり分からないことだ。どんな体勢をしているのだろうか。頭はどっちだろうか。実はさなぎみたいに溶けて変態の途中なのでは。本当にこのなかに猫がいるのか。今このなかの物が猫だという確証はどこにもない。さっきはそうだった、確かに見た、なんて、何の証拠にもならないのだ。

　めくってみたい衝動を味わうためにも、これからも猫包み作りに精を出したい。

（迷子）