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掲載誌までなくなり「ぶっちゃけ諦めてた」のに? まさかの「復活」マンガ

人気マンガであっても、作者の体調や連載誌の方針など、さまざまな事情で長期間休載することがあります。しかし、長い年月を経て奇跡の復活を果たし、読者の期待に応えた作品も少なくありません。

連載再開まで30年以上の期間が空いた作品も

二度目の復活が待たれる少女マンガ『ガラスの仮面』第1巻 著:美内すずえ(白泉社)
二度目の復活が待たれる少女マンガ『ガラスの仮面』第1巻 著:美内すずえ(白泉社)

 根強い人気を誇るマンガ作品でも、作者や連載誌の事情で長期休載になることがあります。ファンが連載再開を諦めかけていた作品もあるなか、10年以上の時を経て奇跡の復活を果たした名作もありました。

●『ガラスの仮面』

 美内すずえ先生によるマンガ『ガラスの仮面』は、1976年より「花とゆめ」(白泉社)で連載が開始され、1997年に一度終了しました。しかし、2004年に完全描き下ろしのコミックス42巻が発売され、その後、2008年に「別冊花とゆめ」で11年ぶりに連載が再開されたという歴史があります。

 本作は、平凡ながら演劇に全てをかけて才能を発揮していく少女「北島マヤ」と、演劇界のサラブレッド「姫川亜弓」が、幻の名作「紅天女」の主役をかけて競う物語です。演劇マンガの金字塔と称される本作は、ふたりのライバル関係だけでなく、恋愛や人間関係が複雑に絡むドラマも見どころで、多くの人から長年愛されているものの、2012年に発売された49巻で物語は止まっている状態です。

 2018年には「別冊花とゆめ」が休刊となり、連載の行方を心配する声もあがりました。しかし、美内先生は自身のX(旧:Twitter)アカウントで「必ず最終巻まで描き続けます」と意欲を示しており、多くの人が連載再開を心待ちにしています。

●『マテリアル・パズル』

 2002年から「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)にて連載されていた『マテリアル・パズル』は、土塚理弘先生によるバトルファンタジーマンガです。ひとつの不老不死の身体に封じ込められた3人が、世界を惨劇に陥れる女神の野望を阻止するために戦う姿が描かれます。

 本作は、3人の主人公が「存在変換」により肉体ごと変化しながら物語が進むユニークな設定です。コアなファンも多いものの、2008年に物語の第3章にあたる『マテリアル・パズル~彩光少年~』の連載が中断されました。

 土塚先生は他作品の連載や仕事の依頼などで多忙だったようで、長期の休載が続いた当時「もう続きは読めないのでは」と諦めの声もありました。そのようななか、再開の環境が整い、土塚先生の自分で物語を完結させたいという思いもあり、2018年に「月刊モーニング・ツー」(講談社)にて、4章にあたる『マテリアル・パズル~神無き世界の魔法使い~』のタイトルで約10年ぶりに再び連載が始まり、2022年12月22日の掲載で無事に完結を迎えています。

●『プレイボール』

 1973年から1978年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた、ちばあきお先生の『プレイボール』は、ちば先生の代表作『キャプテン』の主人公「谷口タカオ」の高校時代を描いた作品です。中学時代の怪我で野球ができなくなった谷口が、高校野球部に入部し、弱小チームを強豪校へと成長させていく姿が描かれます。

 本作は谷口が3年生となり、春の選抜出場校である谷原高校との練習試合を最後に、ちばあきお先生の体調不良によるドクターストップで連載が終了しました。そして、1984年にちば先生が逝去したことで、物語は未完のままとなっていたのです。

 ところが、30年以上の時を経て、2017年4月発売の「グランドジャンプ」にて、コージィ城倉先生による『プレイボール2』として連載が再開されました。城倉先生は『キャプテン』『プレイボール』のファンであり、『砂漠の野球部』『おれはキャプテン』『グラゼニ』などの野球マンガを手がけた実績があります。

 連載再開に際し、城倉先生は「ちばあきお先生が生きていたらおそらくこんなカンジで描いたのではないだろうか…というテイストを『再現』してみたい」とコメントしていました。城倉先生は自身のカラーを出しつつも、作画の雰囲気をはじめ時代背景や舞台設定、キャラクター像をしっかりと引き継ぎ、ファンからは「見事に世界観を継承し、発展させてくれてる」という声があがっています。城倉先生は現在、『キャプテン2』を連載中です。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ?「マヤも亜弓も美しい…」 こちらが『ガラスの仮面』本編より先にスーパーオペラになって結末まで描かれた「紅天女」です

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