『グレートマジンガー対ゲッターロボ』が遺したもの 2大スーパーロボット共演50年
後年、ゲームで一躍有名となったギルギルガン

この2大スーパーロボットに対抗するのが、本作の敵役「ギルギルガン」です。円盤で地球に飛来した宇宙怪獣で、金属を食べて成長することで合計3つの形態を持っていました。怪獣といわれていますが、機械のような部分もあって、金属生命体の可能性も考えられます。
ギルギルガンは謎の円盤から指令を受けて地球にやってきました。つまり各作品のTV版で登場していた「ミケーネ帝国」「恐竜帝国」とはまったくつながりのない敵勢力です。この劇場版のみの敵勢力というのも本作で初めて導入された試みでした。ちなみにこの「謎の宇宙人勢力」は、次回作『グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突』(1975年)の敵勢力と同じであると考察されています。
これまでと違う点といえば、いままでは敵の大軍団と戦う2大ヒーローという構図だったのが、本作は2大ロボ相手に形状を進化させながらも1体で立ち向かう強敵という構図になったことでしょうか。それゆえにギルギルガンの評価は後年高いものになりました。
もっともわかりやすいのがゲーム「スーパーロボット大戦(スパロボ)」シリーズでの扱いでしょう。最初のゲームボーイ用ソフト『スーパーロボット対戦』(1991年)では堂々のラスボス役を務めました。続く2作目のファミリコーンピュータ用ソフト『第2次スーパーロボット大戦』では、オリジナルの第4形態として「メカギルギルガン」という姿まで披露しています。同シリーズの後続作品のほとんどでも中ボスクラスの扱いで登場しました。
惜しむらくは、近年のスパロボでは、マジンガーもゲッターも東映TV版以外での参戦となっていることから、ギルギルガンの出番も減少したことでしょうか。
このスパロボの原点といえるのも本作『グレートマジンガー対ゲッターロボ』といえるでしょう。本作で2大ロボの共演という夢のタッグが成立しなければ、後にスパロボというゲームは生まれなかったかもしれません。その点だけを考えても、本作が後年に与えた影響の大きさがわかるというものです。
まったくの余談ですが、当時の東映社長だった岡田茂氏は、映画館の前で泣きながら座り込んだ子供が、根負けした母親を館内へ引きずり込んだ場面を目撃して感動し、社内で「ジャリ」「ガキ」という言葉を使用禁止にしたうえで「わが社では『コドモサマ』に統一する」といったそうです。
数々の逸話を残した『グレートマジンガー対ゲッターロボ』は、いま観てもテンポのいい名作といえるでしょう。2大スーパーロボットに注目が集まりがちですが、個人的には「ボスボロット」の奮闘が最大の見どころと思っています。
(加々美利治)