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今まさに共感? 原哲夫氏の漫画『中坊林太郎』、カネと不正に染まる権力者を豪快に裁く

権力者たちの不正を暴き、懐にため込んだ血税を没収する捜査官の活躍を描いた『公権力横領捜査官 中坊林太郎』は、約20年前に連載された原哲夫氏によるマンガ作品。その痛快さと「巨悪」たちの描かれ方は、現代においても読む者を惹きつけます。

魑魅魍魎のような「巨悪」たちが物語をより濃厚に?

『公権力横領捜査官 中坊林太郎』第1巻(コアコミックス)
『公権力横領捜査官 中坊林太郎』第1巻(コアコミックス)

「公権力を乱用し血税を蝕む権力亡者たち…。国家の中枢に巣食うそんな巨悪たちを、絶大なる権限を持って処罰できる男がいた──」

 集英社「SUPERプレイボーイCOMICS」の第2巻、表紙カバーの折り込み部分に冒頭のような一文が書かれた痛快なハードボイルド・ストーリー……それが、今回紹介させていただくマンガ『公権力横領捜査官 中坊林太郎』(以下、『中坊』)です。

 作者は『北斗の拳』の作画や『花の慶次』、『蒼天の拳』で知られる原哲夫氏。一連の作品から骨太な物語を描くことで知られる同氏ですが、その中でもこの『中坊』は、(繰り返しになってしまいますが)かなり痛快かつ豪快なストーリーが展開される作品となっています。その内容は、ともすれば集英社発行の男性向けビジュアル誌「BART3230』での連載期間、1998~2000年当時よりも、今の時代こそ共感を覚える方が多いかもしれません。

 物語は、「諸外国からの圧力により成立された時限立法によって設置された公権力横領取締室』の捜査官、中坊林太郎の活躍を描いたもの。巨大メガバンクの「東西銀行」を舞台に、主人公の中坊が行員の「林太郎」として潜入捜査を開始し、さまざまな巨悪たちを相手に闘いを繰り広げていきます。

 政治家たちの不正融資の温床となる銀行と、そこに相談役とおさまる元「日銀」理事の三島や「大蔵省」出身の頭取である長谷川。そして銀行の不正融資を利用し、私腹を肥やす政治家である「民自党」の元副総裁・松丸稲次郎や、地元「G県」の総合開発リゾートを通して私腹を肥やす元・大蔵大臣の大河原慶介、それら悪事の実行部隊である「末野松不動産」の末野松政次郎、武闘派談合屋「業田開発」の業田竜彦など、魑魅魍魎のような人物たちが暗躍し、「味濃いめ・油多め」なストーリーが展開されます。

 そして、その「悪」たちがそれぞれ「悪」として徹底しているからこそ、中坊によってやりこめられた際の描写が痛快極まりないものとなっています。悪の限りを尽くした者たちが最期に迎える哀愁ある姿も見ものです。

【画像】原哲夫氏が描く肉体美! 立体再現された『北斗の拳』ケンシロウ(6枚)

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