リブート版『新幹線大爆破』JRの協力を得ても敢えて入れた「ウソ」とは？　観返したくなるトリビアたち

実は元「国鉄職員」だったキャストは？

　2025年4月23日（水）の配信スタート直後から、SNSでも大きな反響を呼んでいるリブート版『新幹線大爆破』には、原作となる1975年晩の映画へのオマージュや、見すごしてしまいそうなポイントが数多く存在します。このたび、すでに作品を鑑賞した人でも何度も見返したくなるような、劇中に仕込まれた小ネタやトリビアの数々が解禁されました。

「オリジナルの名シーン」を再現！双眼鏡に込められたオマージュ

　本作には総括指令長「笠置（演：斎藤工）」が、新幹線の運行状況を示す電光表示板を双眼鏡で確認するシーンが登場します。実際の現場では、各自のモニターに路線図が表示されるため、双眼鏡を使うことはないそうですが、このシーンは、1975年で運転指令長の「倉持（演：宇津井健）」が双眼鏡を構える姿へのオマージュです。「シビれた」ファンも多いという、印象的な演出として本作にも取り入れられました。

リアルとフィクションの絶妙な融合！あの巨大表示板の裏側

　中盤の新幹線のアクシデントを回避するシーンでは、実際に働くJR東日本（本作に特別協力をしている）の担当者がシナリオを読み、演出面でアドバイスを提供していました。また、新幹線の座席やパネルには、現役を引退して訓練用に使われている実物のパーツを使用し、細部にまでリアルを徹底しています。ただ、その一方で、あえてフィクションを取り入れた演出もありました。

　その代表が、原作にも登場する指令所内のワイドな電光表示板、通称「屏風」です。実際にはJR東日本では数年前に撤去され、現在の総合指令所では各自のモニターに路線図が表示される仕組みとなっています。樋口監督はそれでも「映画としてどうしても総括指令長・笠置が双眼鏡で『屏風』を視認する演出を入れたかった」と語り、劇中に「屏風」を再現しました。

前代未聞の「リアル新幹線撮影」！臨時列車として7往復

　劇中に登場する新青森15時17分発の「はやぶさ60号東京行き」は、実際に臨時列車として運行され、撮影では同型のE5系新幹線を上野～新青森間で計7往復運転させ撮影が行われました。早朝に上野を出て新青森まで行き、折り返して上野までという、12時間の長旅です。鉄道ファンとして知られる樋口監督にとっても、この撮影は特別な体験だったようで、「朝が来るのが楽しみで、臨時列車から降りたくなかった」と語っています。

列車も家も吹き飛ぶ！樋口組が挑んだ大爆破

　タイトルにふさわしく、本作には列車や家屋が巻き込まれる樋口監督渾身の「大爆破」シーンが登場しました。これらのシーンは、樋口組のプロフェッショナルたちが集結し、VFXと特撮を駆使して撮影されたそうです。

　樋口監督は「ついついやりすぎて、爆発が大きすぎてセリフがつながらなくなり、全部撮り直すことになった場面もありました」と、裏話を明かしています。具体的には、家屋が吹き飛ぶシーンで、一軒家を吹き飛ばすほどの火力では隣家にも危険が及ぶため、刑事からの報告のセリフを撮り直したとのことでした。

実は元鉄道人だった！田中要次が映画で熱演

　終盤の救出班の保線担当者「新庄」を演じるのは、名バイプレイヤーとして知られる田中要次さんです。実は田中さんは、過去に国鉄で保線職員として勤務していた経験を持っています。樋口監督も「ヘルメットや安全帯が誰よりも似合う」と、太鼓判を押しました。

ゆりやんも！？　白石監督も！？　意外な著名人が続々登場！

　豪華俳優陣が集結した本作には、意外なキャストも出演しています。救出号の運転士「福岡」を演じる尾上松也さんや、本作のとあるキーパーソンとして登場したピエール瀧さんのほか、Netflixシリーズ『極悪女王』でタッグを組んだゆりやんレトリィバァさんと、白石和彌監督もいました。

　ゆりやんさんは救出号の車内アナウンスの声で登場し、白石監督は、はやぶさ60号と救出号を連結する作業員のひとりとしてカメオ出演しています。映画『碁盤斬り』でタッグを組んだ主演の草彅剛さんへのサプライズとして、白石監督を本番中に突然登場させる計画もあったものの、ふたりは控室のテントで普通に談笑しており、サプライズはあえなく失敗に終わったそうです。

　そのほかにも、樋口監督が特技監督を務めた代表作『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』で主人公を演じた前田愛さんが、車内の女医役として出演し、約10年ぶりとなる演技を披露しています。

　こういったトリビアを踏まえて観るとさらに面白い映画『新幹線大爆破』は、Netflixで世界独占配信中です。