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『あんぱん』次郎が乗ってた「ぱたごにあ丸」にモデルはある? 名前から考えると?

朝ドラ『あんぱん』のセリフに登場した「ぱたごにあ丸」、モデルとなる船はあるのでしょうか。各所でさまざまな意見が交わされていますが、名前に着目した声も多く聞かれます。

そもそも名前が特徴的すぎる

中島歩さん(2019年9月撮影、AFP=時事)
中島歩さん(2019年9月撮影、AFP=時事)

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』の主人公「のぶ(演:今田美桜)」の、最初の夫である「若松次郎(演:中島歩)」が乗っていたという「ぱたごにあ丸」、そのモデルはどの船なのでしょうか。

 メディアの記事やSNS上などでは、次郎のモデルとなった実在の人物が乗船していたという「欧州航路」の貨客船の名前や、劇中の次郎のセリフから「ボンベイ航路」に就航していた船の名前が挙げられているようです。

 その「ぱたごにあ丸」という特徴的な名前から、モデルは「あるぜんちな丸」ではないか、とする意見も聞かれます。「ぱたごにあ」すなわち「パタゴニア」とは、南米大陸の南端に位置する、アルゼンチン、チリ両国にまたがる地域の総称であり、ネーミングに関連性がうかがえるといえるでしょう。

 実際の「あるぜんちな丸」は大阪商船(現、商船三井)が所有する1万トン級の貨客船で、1939年5月末に竣工しました。内装やサービスはかなり豪華なものだったといいます。

 ただ「あるぜんちな丸」が就航していたのは西回り南米航路、すなわち、横浜から東南アジア、インド洋、アフリカ大陸南端のケープタウンを経由し南米へ至り、その後パナマ運河を通過し太平洋、そして日本へ、という世界を一周する航路です。もし「あるぜんちな丸」がモデルだとすれば、劇中で航路を説明する際に、「世界一周」にふれないことはないでしょう。加えて、次郎のモデルとされる人物は日本郵船の所属であり、その点でもやや弱いといえます。

 なおこの「あるぜんちな丸」も、この時代の多くの貨客船同様、軍に徴傭されており、のちに買収され空母「海鷹」へと改装されました。おもに輸送船団の護衛任務に就いていたといいます。

 名前の関連から「ぶゑのすあいれす丸」を挙げる声もありました。こちらも大阪商船の貨客船で、西回り南米航路に就航しており、太平洋戦争中は日本陸軍の病院船として活動しています。

 当時は民間船からの徴傭のほか、戦時徴傭を前提とした民間船の建造なども行われており、「ぱたごにあ丸」はそうした、数多の船を体現しているともいえそうです。

(マグミクス編集部)

【画像3枚】「ぱたごにあ丸」のモデル? こちらが「あるぜんちな丸」です

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