『あんぱん』で『やさしいライオン』絵本化の話が!やなせたかしとフレーベル館を繋げた「恩人」は朝ドラに登場してない?
『あんぱん』110話で、ついにやなせたかしさんの代表作『やさしいライオン』が誕生し、111話では絵本化の話も出ました。いよいよ、やなせたかしさんとは切っても切れない関係のフレーベル館登場でしょうか。
111話で出てきたのはフレーベル館編集者?

NHK連続テレビ小説『あんぱん』は、『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんと妻の暢(のぶ)さんの人生をモデルにした物語です。同作の111話では、ラジオドラマ『やさしいライオン』を成功させた「柳井嵩(演:北村匠海)」が、「絵本」の話をしている場面が描かれました。「本間詩織(演:平井珠生)」という女性編集者が、嵩に「『やさしいライオン』のような美しい物語を絵本にしたいんです」と語っています。
いよいよ朝ドラでも、やなせさんにとって重要な媒体となった絵本の話題が出てきました。本間は今後の重要キャラかもしれません。
史実では『やさしいライオン』は1967年に文化放送の『現代劇場』という番組内でラジオドラマとして放送され、評判を呼びます。そして、1969年に絵本化され、やなせさんは50歳にして絵本作家デビューを果たしました。
この絵本化に関して重要な役割を担ったのが、早稲田大学のグリークラブから生まれた4人組の男性コーラスグループ、ボニージャックスです。以前からやなせさんと仕事をしていたボニージャックスは、ラジオドラマ『やさしいライオン』のセリフとセリフをつなぐコーラスを担当しており、作曲はグループの名付け親でもある磯部俶さんが行いました。
ボニージャックスは1965年にやなせさん作詞の名曲「手のひらを太陽に」のカバーのシングルをキングレコードから発売し、大ヒットさせています。『あんぱん』でも、「手のひらを太陽に」がNHK紅白歌合戦で流れたことが語られていましたが、1965年の紅白歌合戦で同曲を歌ったのは、最初に歌唱した宮城まり子さんではなくボニージャックスです。
また、やなせさんは1966年に発売した詩集『愛する歌』のヒットを受けて、ボニージャックスを中核に同詩集に収録された歌を披露するコンサートも開いています。
そして、『やさしいライオン』の放送後、やなせさんがその後生涯にわたって深くかかわる出版社のフレーベル館に出会ったのも、ボニージャックスのおかげでした。やなせさんの書籍『アンパンマン伝説』(フレーベル館/1997年初版)では、ボニージャックスが、当時仕事で付き合っていた児童書出版社のフレーベル館を紹介してくれたことが語られています。そして、フレーベル館の「トッパンのおはなしえほん」の1969年5月号として、絵本『やさしいライオン』が発売されました。
『やさしいライオン』は絵本も大評判でヒットし、その次にフレーベル館から絵本を依頼された際にやなせさんが書いたのが、『あんぱんまん』(月刊絵本「キンダーおはなしえほん」10月号として)です。やなせさんは『アンパンマン伝説』のなかで、「『やさしいライオン』がなかったらアンパンマンは生まれなかった」「ボニージャックスはぼくの恩人である」「今でもボニージャックスの連中に会うと、ぼくは九十度のおじぎをしている」と語っていました。
そのボニージャックスの存在は『あんぱん』でははっきりとは描かれていませんが、110話と111話で流れたラジオドラマ『やさしいライオン』では美しい男性コーラスの語りが流れています。クレジットにもある通り、このコーラスを担当したのは、現在は初期メンバーの玉田元康さん(91歳)と2003年加入の吉田秀行さん(60歳)のふたりで活動している現ボニージャックスと、男性5人組のコーラスグループのベイビーブーの皆さんです。ベイビーブーの櫻井貴之さんのInstagramには、7人並んでの収録風景の写真も載せられています。
さて、『あんぱん』の本間がフレーベル館の編集者なのかはまだ分かりませんが、彼女が『やさしいライオン』の絵本化に前向きなのは確かです。しかし、嵩が見せた「あんぱんを配るおじさん」のヒーローへの彼女の反応は、芳しくありませんでした。このままでは『アンパンマン』絵本化は厳しそうです。
1973年の絵本では、アンパンマンはいまと同じく顔があんぱんのヒーローになっています。嵩がどのタイミングで、顔そのものが食材のヒーローを思いつくのかにも注目です。
(マグミクス編集部)

