『あんぱん』今も「人前で歌いたい」メイコ やなせさんの妻・暢(のぶ)さんの妹にも実は「夢」があった?
『あんぱん』25週では、辛島メイコがミュージカルを手伝うなかで、また歌いたいという思いを募らせているようです。
一蹴されてしまった暢さんの妹の夢

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんをモデルにした2025年前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』の第25週「怪傑アンパンマン」では、1976年に上演されたミュージカル『怪傑アンパンマン』のエピソードが描かれています。そのミュージカルの準備を手伝うなかで、主人公「柳井のぶ(演:今田美桜)」の妹「辛島メイコ(演:原菜乃華)」は、舞台上で歌っているキャストたちを羨ましそうに見ていました。
124話では、メイコがいまも「一度は人前で歌ってみたかった」と思っていることも明かされています。昔から歌が得意で、かつてNHKの『素人のど自慢』の本選に出ようとオーディションに参加するも夢破れたメイコが、再び歌声を披露できる機会はあるのか、今後に注目です。
『あんぱん』は史実に基づきながらも、大胆なフィクションも加えた作品で、メイコの『のど自慢』挑戦もドラマオリジナルのエピソードでした。しかし、記録は少ないものの、暢さんの妹が「歌」に関する夢を語ったことはあったようです。
暢さん(旧姓:池田)の妹は、次女が瑛(えい)さん、三女が圀(あき)さんといいます。瑛さんは1960年代に暢さんに呼ばれて高知から上京し、やなせさんのスタジオで経理担当もしていたため、各書籍で名前が出てくるのですが、圀さんに関する記述はほぼありません。
ただ、やなせさんと暢さんが出会った高知新聞時代の話題を中心にまとめた書籍『やなせたかし はじまりの物語: 最愛の妻 暢さんとの歩み』(高知新聞社)では、暢さんの幼少時についての情報と、圀さんが語ったある「夢」が語られています。
父の鴻志さん(1924年に39歳で死去)が当時日本一といわれた総合商社の鈴木商店で働いていた池田家は、かなり裕福だったようで、暢さんはピアノとバイオリンを習っていたそうです。そんな姉に影響されたのか、あるとき圀さんは「宝塚音楽学校に入りたい」と言い出したものの、「快活で歌の上手な暢さんの方が『向いている』と、周囲が勧めた」といいます。
また、暢さんと茶道教室で知り合い、1992年からはやなせさんの秘書を務めた越尾正子さん(現:株式会社やなせスタジオ代表取締役)が書いた『やなせたかし先生のしっぽ: やなせ夫妻のとっておき話』(小学館)にも、このエピソードに関する記述がありました。越尾さんは暢さんから、宝塚入りを望んだ圀さんが当時世話をしてくれていた人に「暢さんだったら入れるけれど、あなたでは無理だ」と言われ、「駄々をこねた」ことを聞いたそうです。
音楽だけでなく運動も得意で、容姿端麗だったことでも知られる姉と比べられて、圀さんは相当悔しかったのかもしれません。記録はわずかですが、メイコの人前で歌いたいという夢には、モデルとなった圀さんのエピソードも重ねられていると思われます。果たして最終回までに、メイコの夢は叶うのでしょうか。
(マグミクス編集部)
