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『あんぱん』ついに生まれた超モテ男「しょくぱんまん様」 脚本家がイメージした人物とやなせたかしが参考にした男とは

『あんぱん』26週127話では、ついに名キャラクター「しょくぱんまん」が生まれました。

『あんぱん』の知的な二枚目といえば

柳井のぶ役の今田美桜さん(2018年12月、時事通信フォト)
柳井のぶ役の今田美桜さん(2018年12月、時事通信フォト)

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』の127話では、「アンパンマン」の宿敵「ばいきんまん」のほか、「しょくぱんまん」「カレーパンマン」「ドキンちゃん」「バタコさん」「おむすびまん」「チーズ」ら、『アンパンマン』に欠かせないおなじみのキャラクターたちが一気に誕生しました。

 同話では、ばいきんまんの仲間のドキンちゃんに関して、「柳井嵩(演:北村匠海)」が見た目は母「登美子(演:松嶋菜々子)」にも似ているものの、気が強くめげない性格は妻の「柳井のぶ(演:今田美桜)」が反映されていることを明かしています。

『あんぱん』の脚本を担当している中園ミホさんは、各登場人物に『アンパンマン』キャラを当てはめていることを公言しており、放送初期から、のぶのモデルはドキンちゃんであると語っていました。やなせさんも『アンパンマン伝説』(フレーベル館)という本で、「ドキンちゃんはなぜかぼくの母親の面影があり性質は妻に似ている」と綴っています。

「週刊文春 2025年9月11日号」(文藝春秋)での中園さんのインタビューでは、のぶたちの母「朝田羽多子(演:江口のりこ)」にバタコさん、初期に亡くなった父「結太郎(演:加瀬亮)」におむすびまんが重ねられていることも確定しました。また、はっきりとは言われていないものの、カレーパンマンは127話でカレー屋を開くことも検討していた「辛島健太郎(演:高橋文哉)」のモデルになっていると考えて間違いないでしょう。

 チーズは誰なのか不明ですが、柳井家にいくつかある犬の置物が該当するのかもしれません。『あんぱん』では登場していませんが、やなせ夫妻にはチャコという愛犬がおり、暢さんが亡くなった1993年11月22日のちょうど1か月後の同じ時間帯に、12歳でこの世を去ったそうです(岩波書店『アンパンマンの遺書』より)。

 さて、気になるのは、ドキンちゃんがべた惚れしていることでも有名な、しょくぱんまんの存在です。「主人公・のぶ=ドキンちゃん」である以上、しょくぱんまんが誰に該当するのかはかなり重要でしょう。

 前述の「週刊文春」のインタビューを見ると、中園さんはしょくぱんまんをイメージした人物として、のぶの亡き前夫「若松次郎(演:中島歩)」の名前を出していました。たしかに次郎役の中島歩さんとしょくぱんまんは顔立ちも似ていますし、紳士的で優しい点もそっくりです。

 また、両者はその「モテっぷり」も共通していました。ネット上では、幼少期に触れた「初恋のアニメキャラ」の話題でしょくぱんまんの名前が出ることが多く、「しょくぱんまん様」の愛称で親しまれています。やなせさんも『アンパンマン伝説』のなかで、女の子からよく「大きくなったら、しょくぱんまんさまのお嫁さんになります」といった手紙が来ていたことを語っていました。「辛島メイコ(イメージはメロンパンナ)」役の原菜乃華さんも、各種インタビューで初恋の相手がしょくぱんまんだったことを明かしています。

 やなせさんは絵本を描くなかで物語に「知的な二枚目」が必要と感じ、映画版も有名な小説『風と共に去りぬ』(作:マーガレット・ミッチェル)に登場する美青年「ジョージ・アシュレー・ウィルクス」をイメージしてしょくぱんまんを考えたそうです。ちなみにドキンちゃんには、アシュレーに想いを寄せる主人公「スカーレット・オハラ」も反映されています。

 そして知的なイケメンで落ち着いた低音ボイスを持ち、優しく穏やかな人柄の次郎も、しょくぱんまん同様多くの女性視聴者を魅了しており、第62話で彼が病死した際はSNSに悲しみの声があふれていました。

 のぶは嵩のことを愛していますが、最初の夫でカメラや速記を教えてくれた次郎も、大切な人として彼女の心に残り続けています。「次郎=しょくぱんまん」だと分かったうえで、彼が生きていた頃の放送回を見てみるとまた味わい深いかもしれません。

 ちなみに中園さんのインタビューによると、最初はのぶ(ドキンちゃん)に片想いしていた嵩は、強いて言えば、ばいきんまんをイメージしているそうです。

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ? 「2人ともめっちゃ美人」 コチラがやなせたかしさんが「ドキンちゃんに似てる」と語った妻・暢(のぶ)さんと母・登喜子さんです

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