「さすがに最終回前は」 あんぱん・蘭子の「死亡フラグ(?)」に様々な声 「正式なモデル」は2003年まで生きてるが
『あんぱん』最終週では、のぶの妹の蘭子がどのような展開を迎えるのかも注目です。129話では彼女が海外に行くことが語られたものの……。
海外に行ってしまう蘭子

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』の129話では、主人公「柳井のぶ(演:今田美桜)」の妹「朝田蘭子(演:河合優実)」が、「キューリオ」の社長「八木信之介(演:妻夫木聡)」から、バースデーカードに入った指輪を貰いました。そして、「帰ってきたら……考えてくれ……」という八木に対し、蘭子は「はい」とほほ笑んでいます。
なかなか進展しない蘭子と八木の関係がどうなるのかは、物語後半の大きな見どころとなっていたため、今回の「プロポーズ」の場面にSNSではすでに祝福の声が多数出ていました。ただ、問題は蘭子がこれから難民キャンプの取材で「海外に行く」という点です。一部では、「これは死亡フラグなのでは」といった心配のコメントも見受けられます。
そういった意見が出ているのには、蘭子の「モデル」が関係しているようです。史実での彼女のモデルは、暢さん(旧姓:池田)の妹にあたる瑛(えい)さんで、1920年生まれの彼女は2003年に亡くなっています。
ただ、蘭子は『あんぱん』のなかでもかなり特殊なキャラクターで、昭和を代表する名脚本家、向田邦子さん(ドラマ『寺内貫太郎一家』『時間ですよ』『阿修羅のごとく』など)の設定も投影されているのです。向田さんは、1950年代後半にやなせさんが雑誌に映画批評の記事を書いていた際の担当編集者(当時20代)で、フリーになってからもやなせさんのドラマの脚本を手伝ったり、エッセイ『父の詫び状』の挿絵を頼んだりと、長年親交を持っていました。
『あんぱん』脚本担当の中園ミホさんは、「週刊文春」のインタビューで、物語の途中から蘭子に自身が最も尊敬している脚本家である向田さんを重ねて書いていたことを明かしています。蘭子が映画評の仕事を始めたのも、そのためでした。
その向田さんは1981年8月22日、台湾への取材旅行中に遠東航空機墜落事故で51歳で亡くなっています。生涯独身でした。
9月以降、蘭子に向田さんが投影されていると知った視聴者からは、「終盤で蘭子が飛行機事故に巻き込まれるのでは」といった心配の声も出ていたものの、127話で物語が1985年まで進んだため、「向田さんと同じ運命ではない」と安心した方も多かったようです。
ここにきて、蘭子が海外渡航で飛行機に乗るという展開にハラハラしている方もいるでしょうが、129話でのぶに病気が見付かった(モデルの暢さんは1993年にがんで死去)なかで、蘭子まで事故死という展開は朝ドラではありえないと思われます。SNSでも「最終回直前じゃなかったら死亡フラグやんけ」「これ中盤だったら蘭子死亡フラグだけどまさかね」と、さすがにこのタイミングでの蘭子の退場はないと考える意見も多々ありました。
現状出ている最終回130話のあらすじは、入院したのぶと「柳井嵩(演:北村匠海)」に関することしか書かれておらず、蘭子がどうなるのかは不明です。
1992年から20年以上やなせさんの秘書として働き、現在はやなせさんの活動を引き継ぐために設立された、株式会社やなせスタジオの代表取締役を務めている越尾正子さんの著書『やなせたかし先生のしっぽ: やなせ夫妻のとっておき話』(小学館)によると、暢さんが亡くなる前日の1993年11月21日には、瑛さんが入院中の暢さんを見舞い「楽しいひと時を過ごすことが叶った」といいます。
視聴者が観たいのは、やはり「向田さんルート」ではなく「瑛さんルート」の方でしょう。蘭子は無事に帰ってきて八木と結婚し、のぶの最期の前に会うことができるのか、最終回に注目です。
(マグミクス編集部)
