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『あんぱん』いせたくやは最後どうなった? やなせたかしが見た「いずみたく」遺作の壮絶な作曲風景とは

『あんぱん』の特別番組第3夜では、いせたくやの作曲のスランプが描かれます。やなせさんは、彼のモデルとなった人物の壮絶な最後の仕事風景を見ていたそうです。

終盤、ずいぶんと老け込んでいた「いせたくや」

いせたくや役、大森元貴さん(Mrs. GREEN APPLE)のプロフィール写真
いせたくや役、大森元貴さん(Mrs. GREEN APPLE)のプロフィール写真

『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんをモデルにした2025年前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、完結後のSPドラマとキャスト座談会の特別番組が放送中です。第3夜となる10月1日には、「柳井嵩(演:北村匠海)」と長年仕事をしてきた作曲家「いせたくや(演:大森元貴)」のスランプについて描いた「男たちの行進曲」が放送されます。

 発表されているあらすじは、おおまかに下記のようなものです。

「カフェで深いため息をつくたくや。『六原永輔(演:藤堂日向)』が珍しく元気のない彼にアドバイスをするも、前向きになれずにいた。そんななかカフェに嵩がやってきて、思い付いたという歌詞を渡すと、それを読んだたくやは笑みをこぼし、おもむろに作曲を始める」

 作中のどのタイミングかは不明ですが、嵩が歌詞を書いてきた曲とははいったい何なのかも注目です。

 スピンオフも作られるほど人気になったたくやの『あんぱん』本編最後の登場は、129話でアニメ『それいけ!アンパンマン』の初回放送(1988年10月3日)を、「辛島健太郎(演:高橋文哉)」のカレー店で観ている場面でした。老けメイクで、別人のようになった大森さんの姿も話題になっています。

 たくやのモデルは、やなせたかしさんの親友の作曲家、いずみたくさんです。彼はやなせさんの11歳下の1930年生まれで、『それいけ!アンパンマン』放送開始時はまだ58歳でした。

 ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の現場で初めてやなせさんと出会ったいずみさんは、やなせさん作詞の名曲「手のひらを太陽に」の作曲を担当し、1976年から始まったミュージカル版『アンパンマン』シリーズを企画するなど、やなせさんと何度も仕事をしました。『それいけ!アンパンマン』にも、100曲を超える楽曲を提供しています。

 そしていずみさんは、やなせさん(2013年死去)よりも20年以上早く、1992年5月11日に62歳の若さで肝不全によりこの世を去りました。

 やなせさんの書籍を読むと、いずみさんが最後まで作曲家として働き続けたことが書かれていました。自伝『アンパンマンの遺書』(岩波書店)によると、いずみさんの遺作となったのは、やなせさんと長年続けた『アンパンマン』のミュージカルシリーズ第6弾『それいけ!アンパンマン-アンパンマンと勇気の花』(1992年)の挿入歌で、のちにアニメでも使われている「すすめ!アンパンマン号」だったそうです。

 この曲は当時、病床で鉛筆を持つ力も失っていたといういずみさんが、夫人の庸子さんに口頭でメロディーを伝え、楽譜に書いてもらう形で完成しました。

 やなせさんは別の書籍『アンパンマン伝説』(フレーベル館)で、親子ともに『それいけ!アンパンマン』の曲で「すすめ!アンパンマン号」がいちばん好きだという方からの手紙を引用し、亡きいずみさんへ

「GO!GO!GO!アンパンマン号GO!うれしそうに歌いながらそのまま天国へいってしまった さよならたくちゃん! もうかえってこないんだね」

 と詩を綴っています。

 作中では語られていませんが、『あんぱん』最終回の終盤(1993年頃)には、たくやも亡くなっているのかもしれません。「男たちの行進曲」では、まだ比較的若くて元気な頃のたくやが観られるので、彼がどのようにスランプを脱するのか見届けましょう。

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ? 「年とってもイケメン」「名前の響き似てる」 コチラが「健太郎のモデル」説あった「やなせたかしの同級生画家」です

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