「気合い入りすぎ」「大事なモノ抜こうとした」「原作のまんま」池松壮亮が全力で演じた実写化キャラ
2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟』で存在感を放っている池松壮亮さんは、作品ごとにまったく異なる表情を見せる俳優として評価を高めています。穏やかな佇まいの奥に激しい感情を潜ませる演技から、感情を抑え込んだ静かな表現まで、その振れ幅の広さは際立っています。
『豊臣兄弟』以外にも称賛が集まった池松壮亮さん演じる個性的なキャラとは

2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』の豊臣秀吉役で存在感を示す池松壮亮さんは、さまざまなタイプの作品で強い印象を残してきた俳優です。マンガの実写版では、原作の世界観を尊重しながら、キャラクターに新たな奥行きを与える演技を見せており、これまでにもたびたび話題になっています。
●丸刈りシーンは衝撃的だった?
『宮本から君へ』(作:新井英樹)は1990年から「モーニング」(講談社)で連載され、2018年にドラマ化、2019年に映画化された作品です。ドラマ版、映画版ともに、池松壮亮さんが熱血営業マンの主人公「宮本浩」を演じており、仕事や恋愛に不器用ながらも全力で向き合う彼を、暑苦しくも切ない生きざまとして表現しています。
宮本は理屈より感情が先に立つ人物で、原作の前半部分にあたる「サラリーマン奮闘編」を描いたドラマ版では、受付嬢「甲田美沙子(演:華村あすか)」との恋模様や、取引を巡るトラブルから反省の意を込めて頭を丸刈りにするシーンなどが描かれました。頭を丸めるシーンでは池松さん自身がバリカンを入れており、役に懸ける覚悟と再現度の高さが強くうかがえます。
ドラマ版よりハードな内容を盛り込んだ映画版では、ラガーマン「真淵拓馬(演:一ノ瀬ワタル)」が本作のヒロイン「中野靖子(演:蒼井優)」に性暴力を加えるシーンや、真淵が宮本と階段で壮絶な喧嘩をする描写などがあり、観る側を選ぶ内容として賛否を呼びました。それでも、原作の熱量をそのまま映像に落とし込んだ点は「嫌になるほどリアルで現場の本気度が伝わった」「破天荒な宮本が原作のまんまだった」と高く評価されています。公開時、池松さんが役のために本当に前歯を抜こうとして蒼井さんに止められたという逸話も出ていました。
●原作とは違う熱いラスト
福本伸行先生の代表作のひとつであるギャンブルマンガ『銀と金』は、2017年にドラマ化されました。裏社会を舞台に、巨額の金を巡る非情な頭脳戦が描かれます。池松さんが演じた「森田鉄雄」は、満たされない現実を生きる青年で、裏社会のフィクサーである「平井銀二(演:リリー・フランキー)」と出会ったことをきっかけに、危険なマネーゲームの世界へ足を踏み入れていきました。
ドラマの森田は感情を表に出すことが少ないものの、周りに対する怒りや苛立ち、欲望と恐怖を内に抱えたまま静かに思考を巡らせる人物です。池松さんは落ち着いた声のトーンで視線や沈黙、わずかな表情の変化で内面の揺れを表現し、クールな存在感を示しました。
最終話では、大企業グループ「誠京」の会長「蔵前(演:柄本明)」との麻雀対決が描かれます。大勝負の末、森田は銀二ともっと血のたぎる勝負がしたいという思いから、ひとりで行動していくことを決意しました。
そしてドラマラストでは、原作で「途中退場」した森田が、銀二の前に敵として立ちはだかる構図で幕を閉じます。原作の続編が出ていないなかで描かれたドラマオリジナルの結末には、「マンガでもこの結末で描いてほしい」「原作通りに進行して終わりも綺麗にまとめられて完成度が高かった」と好評の声があがりました。
●シュールな世界観を完全再現で絶賛
関西の川辺を舞台に、放課後の高校生ふたりがとりとめのない会話を交わす様子を描いた映画『セトウツミ』(作:此元和津也)は、池松さんと『豊臣兄弟!』で軍師・竹中半兵衛を演じている菅田将暉さんのダブル主演で、2016年に実写映画化されました。池松さんは、淡々とした口調で皮肉を交えながら話す塾通いのクールな高校生「内海想」を演じています。
本編の大半は、池松さんと菅田さんによる関西弁の会話劇で構成され、漫才のような掛け合いが自然な笑いを生み出しました。感情を大きく動かさずとも、間や言葉選びだけで空気を作るふたりの演技は評価が高く、静かなテンポのなかに独特の心地よさが漂っています。
菅田さん演じる「瀬戸小吉」の「このポテト長ない?」という何気ない会話からはじまる物語には、実は数多くの伏線が散りばめられています。終盤にかけてそれらが回収されていく構成もファンからは「ゆるい日常系なのに起承転結がしっかりあって飽きなかった」「懐かしい気持ちになった」と好評でした。
また、内海と瀬戸という対照的なふたりのキャラクター性やビジュアルは、原作と比較しても再現度が高いです。原作の空気感を損なわず映像化しており、池松さんの抑制された演技力が際立つ1本でした。
(LUIS FIELD)
