「ニュータイプ」に続いて登場した、ガンダム作品のトンデモ能力。寿命も通常の2倍に?
宇宙世紀以外のガンダム作品で登場した新人類たち

ニュータイプの概念は扱いの難しさゆえか、後年のガンダムシリーズでは似て非なる概念の特殊能力が生まれていきました。
その第一号といえるのが、『機動戦士ガンダムSEED』に登場した「SEED」の概念です。ファンからは「種割れ」と言われることもありました。スタッフからは「火事場の馬鹿力」と言われ、発動状態のキャラは瞳のハイライトがなくなる処理がされています。
この能力の所有者は「SEEDを持つ者」と言われ、遺伝子操作されたコーディネーターだけでなく、ナチュラルと呼ばれる普通の人間にも発動しました。作中の概念は運動神経と反射神経が向上し、ひとつ上のステージに到達した人類と定義されていました。
続いて『機動戦士ガンダム00』に登場したのが「イノベイター」です。革新を遂げた人類の姿とされ、空間認識力や反射能力が高まり、同種の人間との交信能力を持つなど、ニュータイプの発想の延長線上にある概念でしょうか。
ニュータイプと明確に違う点は、寿命が普通の人間の2倍ほどあり、老化の速度も遅いこと。また、人工的にイノベイターとして作られた人口生命体「イノベイド」がいる点です。本編は、このイドベイドがイノベイターを名乗って人類を支配しようとした物語でした。その結果、「純粋種」と呼ばれるイノベイターが自然発生していきます。物語から50年以上経った劇場版のエピローグでは、人類の約4割がイノベイターとして覚醒しています。
これまで紹介した概念とは違い、『機動戦士ガンダムAGE』に登場する特殊能力者「Xラウンダー」は、人類の進化や革新とは真逆の「先祖返り」により、手放した野生の能力を取り戻したものだと定義されていました。
しかし、得られる能力は近未来視や反射速度の向上、ビット兵器の操作などのニュータイプ能力のようなものです。また、Xラウンダーでなくてもアセム・アスノのような操縦技術の向上で、それに匹敵する戦闘能力を得ることができました。
新人類というわけではありませんが、『機動武闘伝Gガンダム』では武闘家が修行することで「明鏡止水」の境地に達することがあります。機械的に能力を高める方法は宇宙世紀にはもちろん、『新機動戦記ガンダムW』の「ゼロシステム」や『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の「阿頼耶識システム」などもありました。
ガンダムシリーズのなかで従来の人類を超えた存在として、たびたび登場するニュータイプ的な要素の数々。今後も新しい世界観が生まれるたびに生み出されていくのでしょうか。来年2022年以降に放送が予定されている『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でも登場するのかどうか、期待したいと思います。
(加々美利治)