「短い原作」を実写化したおすすめ映画5選 「音楽」の使い方、構成がうますぎる!
オリジナルで膨らませた内容に爆笑

●『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
『惡の華』『血の轍』などの押見修造先生が、吃音に悩んできた自身の体験を反映させた同名マンガ(全1巻)を実写化した映画です。緊張で自分の名前も上手く言えないけど歌は上手い主人公・大島志乃と、ギターはうまいけど音痴な少女・岡崎加代が出会い、「しのかよ」というデュオで路上ライブを始めるのですが……。
同作は原作に忠実ながらも、映画でしか表現できないことをしっかり描いています。主演の南沙良さんの吃音演技、歌唱力も大きな魅力です。また、原作ではサラッと描かれていた、「しのかよ」のふたりが路上ライブで自信と絆を深めていく一連の描写は、実写版の白眉と言えるでしょう。
また、途中からバンドに加わりたいと言ってくる男子・菊池の「お調子者」ゆえの悩みも原作より深堀りされており、それぞれが自分のコンプレックスと向き合い苦い成長を遂げるラストは心に残ります。
●『子供はわかってあげない』
田島列島先生が水泳部の女の子のひと夏の冒険と恋を描いた『子供はわかってあげない』(上下巻)を、『横道世之介』『モリのいる場所』の沖田修一監督が映画化した青春映画です。
主人公・美波の父がカルト宗教の教祖をしていて疎遠になっていたり、美波と仲良くなる門司くんの兄が性転換していたりと、複雑な事情が描かれつつも、全体的にカラッとしたコメディとして見ることができます。特に、原作ではあまり具体的に描かれていなかった、美波の大好きなアニメ『魔法左官少女バッファローKOTEKO』を実際に作って(櫻井孝宏さんや速水奨さんら豪華声優も参加)流し、家族そろってダンスまで真似している場面は爆笑でした。
また、撮影時まだ10代だった美波役の上白石萌歌さん、門司くん役の細田佳央太さんの瑞々しい演技も見どころ。クライマックスの「屋上」の場面は、原作者の田島先生も泣いてしまったと語るほどの名シーンです。
●『翔んで埼玉』
最後は、短いどころか未完になっていた魔夜峰央先生の伝説のマンガ(全1巻、95ページのみ)を、オリジナル要素満載で実写化したコメディ『翔んで埼玉』を紹介します。魔夜先生が後年「一時的な気の迷いのようなもの」だったと語るほどの、どうかしている「埼玉ディス」な世界観を、『テルマエ・ロマエ』の武内英樹監督がより強化させた作品です。エンドロールの、はなわさんによる「埼玉県のうた」まで見逃せません。
まず、原作連載時と映画公開時に30年以上の隔たりがあることを、逆に利用しているのが大きな特徴。物語は「かつて埼玉はこんなに差別されていた」と語る都市伝説のような話を、埼玉県民の家族がラジオで聞くところから展開されます。このアクロバットな構成により、さらにフィクション度の高い内容になっていました。
そして、魔夜ワールドからそのまま出てきたかのような、濃ゆい見た目と性格のキャラたちが、原作通りの「草加せんべい踏み絵」や「埼玉狩り」などのギャグを繰り広げます。その他に、GACKTさんがキャスティングされたことで加わった、「東京テイスティング」の場面も抱腹絶倒です。また、千葉や群馬などその他の関東県も「ディスられ」ていました。
全体的にふざけながらも大真面目なトーンのストーリーが展開されますが、特に驚愕だったのはラスト。ここ30年間で埼玉県が日本全国に与えた、とある「影響」をまさかのどんでん返しに使っていました。『翔んで埼玉』は大ヒットにより続編の製作が発表されたものの、GACKTさんの活動休止により、映画撮影も現在ストップしています。GACKTさんの復帰と続編の完成を祈ります。
(マグミクス編集部)