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かわいいけど「考えさせられる」ストップモーションアニメ映画3選 「中年の危機」テーマも…

ひとつずつコマ撮りしていくために膨大な手間がかかる、ストップモーションアニメ。今回は膨大な手間をつぎ込んだ見事な映像を作り上げ、大人も楽しめる、むしろ大人こそ楽しめる物語を描き出したストップモーションアニメ映画を紹介します。

実話をもとにした切ないクレイアニメ

孤独な少女とアスペルガーの中年男性の20年にわたる交流を描いた映画『メアリー&マックス』ポスタービジュアル (C)2008 Screen Australia, SBS, Melodrama Pictures Pty Limited, and Film Victoria
孤独な少女とアスペルガーの中年男性の20年にわたる交流を描いた映画『メアリー&マックス』ポスタービジュアル (C)2008 Screen Australia, SBS, Melodrama Pictures Pty Limited, and Film Victoria

 静止物体を少しずつ動かしながらコマ撮り撮影をしていくストップモーションアニメは、とてつもなく手間のかかるアニメーション手法です。

 完成までに数年を要することも当たり前の世界ですが、単にアニメーションとして手間がかかっているだけでなく、ストーリーもメッセージ性も深い射程を捉えている「大人にこそ見てほしいストップモーションアニメ映画」を紹介します。

●『メアリー&マックス』

 メルボルンに住む少女・メアリーは友達がおらず、両親からもネグレクト気味。ニューヨークでひとり暮らしをしている中年男性のマックスアスペルガー症候群……孤独を抱えたふたりの20年にわたる文通を通して描く、奇妙かつ心温まる友情物語です。アヌシー国際アニメーション映画祭で、最優秀長編作品を受賞するほどの高評価を受けました。

 アダム・エリオット監督が少年時代から文通をしていたニューヨークの友人との体験ををベースにしており、彼はその物語を独特なクレイアニメーションで表現しています。133個のセット、212個の人形、475個のミニチュア模型を使って、キャラの細かい表情、メルボルンとニューヨークの風景もそれぞれ再現、1年以上の気の遠くなるような作業を経て完成されました。

 クレイアニメらしい動きやキャラデザのかわいらしさと同時に、時折ぎょっとするような容赦のない展開もあって、かわいいアニメとして見ていると急に心をえぐられます。孤独な人間が見ている世界や、ある出来事があってからのふたりの現実の見え方も、クレイアニメならではの表現でしっかり可視化しており、細かいところまで楽しめる作品です。

 相手のためを思ってしたことがその人を傷つけることもある、自己評価がもともと低い状態で何かを成し遂げると、人一倍増長してしまう……というような、人生の苦くてリアルな一面も描いており、人生を重ねて見返すとより味わい深くなります。

「他人を愛するにはまず自分自身を愛せ」「家族は選べないけど友人は選べる」など、現実を生きるのに役立つ金言も詰まった名作です。さまざまな障害を乗り越えて訪れる、切なくも優しいラストは涙なしでは見られません。

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