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「ガンダム」シャアはなぜアクシズを落とした? 政治家・指導者としては有能だったが…

人気アニメ『機動戦士ガンダム』でも、屈指の人気キャラクター「シャア・アズナブル」。サイド3を独立させた政治家ジオン・ダイクンの息子で、ジオン軍ではエースパイロット「赤い彗星」。『機動戦士Zガンダム』では、反地球連邦組織エゥーゴの幹部で、最後に『逆襲のシャア』でネオ・ジオン総帥として消息不明となります。シャアが何を考えていたのか考察します。

なぜアクシズを掌握しなかった?

ネオ・ジオン総帥となったシャア・アズナブルが描かれた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』DVD(バンダイビジュアル)
ネオ・ジオン総帥となったシャア・アズナブルが描かれた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』DVD(バンダイビジュアル)

『機動戦士ガンダム』は、作りこまれた設定と、数多く発表された作品群がお互いを補完する、大河ドラマ的な重厚さを持つ作品です。その中でも「シャア・アズナブル」は歴史を大きく動かした人物と言えます。

 月の裏側に位置する、スペースコロニー群「サイド3」を独立させた政治家ジオン・ズム・ダイクンの息子として、シャアは生まれました。しかし、ダイクンが死去したことで、その側近・ザビ家がサイド3の権力を掌握します。

 キャスバル・レム・ダイクンとして育ったシャアは、自分とそっくりな「シャア・アズナブル」と入れ替わり、ジオン公国軍に入隊。一年戦争開戦後は大活躍し、エースパイロット「赤い彗星」として知られます。

 シャアは、策謀家・指揮官として優れていましたから、かたきと狙うザビ家の御曹司ガルマを、敵軍の攻撃で戦死させます。その後、左遷された自分を引き立てたキシリア・ザビも、ア・バオア・クー攻防戦時に暗殺しました。

 木星方面に脱出したジオン艦隊に乗り込んだシャアは、宇宙要塞アクシズで数年間を過ごし、そこでザビ家唯一の生き残りであるミネバ・ラオ・ザビや、ミネバの摂政に就任したハマーン・カーンと親密になります。

 ところが、シャアは新素材ガンダリウムを持って地球圏に帰還。連邦軍の軍籍を入手して「クワトロ・バジーナ」を名乗り、反地球連邦組織エゥーゴに参加します。エゥーゴ代表ブレックス・フォーラは、彼を「赤い彗星」と知りつつ重用し、幹部としました。

 そのブレックスが暗殺され、シャアはエゥーゴを束ねて、ダカールの連邦議会を武力制圧して演説。自分がジオン・ダイクンの息子で、赤い彗星だと明かしたうえで、非道を重ねる敵対組織ティターンズを糾弾、グリプス戦役の大義名分を引き寄せました。

 しかし、最終決戦でハマーンのキュベレイに乗機を破壊されたシャアは、これを好機と姿を消します。ハマーン戦死の4年後、シャアは彼女が率いていた組織「ネオ・ジオン」の総帥として、連邦政府に交渉を行いました。

 シャアは連邦政府を騙して宇宙要塞アクシズを入手、この小惑星を地球に落とす作戦中に、消息不明となります。

 こんな人生のなかで、シャアは不思議な決断をしています。

 シャアは「なぜアクシズを掌握しなかった」のでしょうか。ザビ家の生き残りミネバは、シャアがアクシズにいた時期は幼女でした。摂政のハマーンもまだ16歳。ハマーンは、ジオンを統べる正当性はなく『機動戦士ガンダムZZ』で、部下のグレミーに反乱を起こされています。

 正当性を持ち、策謀家のシャアがその気になれば、アクシズを掌握できたでしょう。その答えは、シャア自身が『Z』でハマーンに語っていた「ミネバを偏見の塊に育ててなんとする」だと考えられます。

 シャアは、恋人・ララァの死を14年も引きずる性格で、非情には徹しきれません。ハマーンを利用しようと近づいたものの、情が湧き、かつ、彼女がザビ家側の秩序を重んじる性格で、殺害しないと地位を奪えない。そこに躊躇したのでしょう。

 また、名目上の主君ミネバは真っ直ぐな性格で、シャアを慕っていました。ガルマを謀殺して空しくなったシャアが、自身を慕う幼女を殺害するのも無理だったのでしょう。

「このままアクシズにいたら、ダイクンの息子としての自分は終わる」。そう考えて、地球圏に脱出したのだと思われます。

【画像】どのシャア専用MSが好き? 愛機を振り返る(5枚)

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