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『うる星やつら』しのぶ、初の主役エピソードからも見える、少し不幸なキャラ人生

『うる星やつら』の「しのぶ」は、旧アニメで第1話から登場するメインキャラですが、だんだんその影が薄くなっていきます。どこか不幸で損な役回り、それはようやくやってきた主役エピソードからもうかがえます。

美少女、優しい、男運なし、怪力……それが三宅しのぶ

しのぶが表紙の「うる星やつら」新装版3巻(少年サンデーコミックス)
しのぶが表紙の「うる星やつら」新装版3巻(少年サンデーコミックス)

 2022年、リメイクアニメ『うる星やつら』(原作・高橋留美子)が36年ぶりに完全新作で復活、フジテレビ「ノイタミナ枠」などで放送されます。そして先日、三宅しのぶ役に内田真礼さんが決定したことが発表され、ファンは沸きました。

『うる星やつら』の女性キャラのなかでも、根強いファンが多い「しのぶ」。美少女というのもありますが、人気の理由のひとつは「不幸だから」かもしれません。彼女は旧アニメ(1981〜86年放送)第1回から登場、主人公・あたるの恋人で結婚まで決意したのに、ラムに略奪されます。色男の面堂終太郎とは恋人のようで違う微妙な関係、たびたび出逢いはあるものの憂き目に合う男運のなさ。「男なんて〜!」と叫んでは、怪力で物を投げ飛ばし周囲を圧倒するのがお約束でした。でも、クセが強いうる星キャラのなかで、普段は最もまともで優しいのも魅力です。島津冴子さんの声もマッチしていたと思います。

●なーんか中途半端だったオリジナル第2弾

 そんな「しのぶ」に、ついに主役回がめぐってきます。なんと数えて第94話目でした。新キャラ初登場話のようにフィーチャーし辛かったのかもしれませんが、ようやくファン待望の主役です。タイトルは「しのぶのシンデレラストーリー」。これを聞いて、「?」と思った人も多かったでしょう。実はこれ、第31話「あゝ個人教授」以来2作目となるアニメオリジナル回だったからです。つまり、誰も知らないエピソードなのです。とはいえタイトルから想像するに、しのぶのどんな素敵な恋物語なのか? とドキドキしたはず。ただ、内容は「サスペンスラブストーリー」でした。

 第94話「しのぶのシンデレラストーリー」を振り返ります。面堂家とゆかりのある小早川コンツェルンの会長が亡くなったニュースが駆けめぐったその夜、ひとりで留守番するしのぶのもとに、何者かに追われる不審な男が転がり込みます。男は小早川家の三男・真。養子である真は遺産相続争いに巻き込まれ、命を狙われていました。やがて、しのぶまで殺し屋の標的になったため、ふたりの逃走劇が始まります。幾度もの危ない場面を切り抜け、真の優しさに惹かれるしのぶ……。その後、殺人教唆の疑いで真の兄弟は逮捕され、会長の遺言状が公開となり、遺産は真のものに決定します。がしかし、そこへ「異議あり!」の声が。現れたのはきれいな化粧を施し、ドレスアップされたしのぶでした。しのぶは真の行動の不審点を挙げ、一連の騒動は自作自演であることを証言します。しのぶがほんのり抱いた恋心は、悲恋に終わるのでした……。

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