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「先見の明」エグッ 70年代後半に『うる星やつら』実写化に動いていたのは

『うる星やつら』は1978年8月に連載が始まりました。最初は不定期で5週連続の5話分だけでしたが、円谷プロは、この時点で実写化に動いたといいます。鋭いです。

誰が「ラムだっちゃ」と言うはずだったのか?

『うる星やつら公式ファンブック DancingStar』(小学館)
『うる星やつら公式ファンブック DancingStar』(小学館)

 2025年10月10日に68歳の誕生日を迎える、マンガ界の巨匠、高橋留美子先生は1978年7月に「週刊少年サンデー」(小学館)で読切り『勝手なやつら』でデビューし、それをアレンジした『うる星やつら』で、8月に連載をスタートさせています。

 これは異例の速さといえますが、実は、さらに驚くべきことにこの時点で『うる星やつら』実写版TVドラマ化(レギュラー30分番組)が企画されていたことをご存じでしょうか? 目を付けたのは、あの円谷プロでした。

 この事実は、2014年に発売された、円谷プロ制作のTV特撮ドラマ『宇宙の勇者スターウルフ』のDVD/BR-BOXに付属した解説書で紹介されており、「新番組企画書 うる星やつら」と表紙に印刷された企画書の写真まで掲載されています。

●女の子が主役の特撮!

『スターウルフ』の放送は1978年で、当時は『ウルトラマンレオ』終了から約3年が経過し、円谷プロもポスト「ウルトラマン」を目指した、新規ジャンル開拓に余念がありませんでした。

 そんなとき、スタッフのひとりが『うる星やつら』を見付けたそうです。最初は不定期連載のマンガで年末まで8話分しか掲載されておらず、まだ話題性も乏しかったのに、年内には企画書を作成していたというのは、恐ろしい先見の明だと思います。

 当時は、映画『スターウォーズ』『未知との遭遇』、歌謡曲ではピンクレディー『UFO』が大ヒットし、ちまたでは『インベーダーゲーム』、『口裂け女』など、ちょっとオカルトなワードが話題になっている時代でした。

 そんな世相に合わせ、ドラマ『うる星やつら』はヒロインがインベーダーの女の子で、宇宙人や妖怪が登場する「SFファミリードタバタコメディ」として企画されたそうです。主役が女の子の特撮ドラマというだけで、斬新だったはずで、しかも「ビキニの女の子」が毎回登場するという展開なら、それだけで男子ウケしたに違いありません。

 企画はよみうりテレビ、そして「小学館」のあいだで進行します。しかし、うまく折り合わず、残念ながら実現には至りませんでした。ちなみに、大ヒットしたアニメは1981年にスタートしています。

ラム役は誰?

 もし実写化が実現していたら、どんなドラマになったのでしょうか。企画内容やあらすじなどの詳細は分かりませんが、原作にストックがないので、完全なTVオリジナルドラマになったはずです。

 概要をちょっと想像してみます。長年ヒーローを描いてきた円谷プロのドラマですし、当時の傾向として、「善vs悪」の図式は必須だったでしょう。「ラム」を中心とした、「諸星あたる」やクラスメイト、「錯乱坊」といった主要キャラクターと、平和を乱す悪い組織や団体(宇宙人や怪獣、妖怪)という様相で、ラムは電撃ショックを武器に、ときにはUFOに乗って戦います。そこに、ドタバタギャグやお色気もある、というようなコメディードラマになっていたかもしれません。

 さらに気になるのは、ラム役に誰をイメージしていたのかという点でしょう。企画書にはきっと、候補の名前はあがっていたはずです。

 1978年時点のアイドルや女優で、色気があってスタイル抜群な方といえば、誰が思い浮かぶでしょうか。意見が分かれるところと思われますが、個人的には手足がすらりと長い、当時18歳の浅野ゆう子さんの姿が浮かんできます。

(玉城夏)

【画像】え、こんなにスタイルいいの? コチラが円谷プロ版『うる星やつら』ヒロインだったかもしれない78年当時18歳の女優です

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