中身が気になる…ジャンプ人気作を扱った学術論文 『北斗の拳』の「顔」の研究とは
花道や流川を成長させた「言語ゲーム」とは?
●『SLAM DUNK』はまさかの角度で考察
バスケマンガの金字塔『SLAM DUNK』(著:井上雄彦)に関する論文も著されていますが、スポーツマンガにも関わらず次のような論文が発表されています。
「『スラムダンク』における成長の言語ゲーム」
「言語ゲーム」とは哲学者ウィトゲンシュタインが提唱した概念で、「言語」をルールに則る「ゲーム」の比喩として取り扱ったもの(同じ言葉でも、関係性や状況によって意味が変化していくことのゲーム性を指している)。「久留米大学文学部紀要」に収録された論文で、著者は同大文学部教授の白石義郎氏です。
なるほど、「成長の言語ゲーム」とは何か。花道や流川の成長ぶりが、どのように解剖されているのか。凄まじく内容が気になるところではありますが、こちらはネットでの閲覧はできないようで、国会図書館などに足を運ぶしかありません。
●『北斗の拳』の「顔」の描写に注目!思わず作品愛がこぼれてしまう?
最後にご紹介するのは『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)を題材にした論文です。
「北斗の拳における顔の描写について : レヴィナス倫理学からみた他者への描画的表現」
「レヴィナス倫理学」……高校で倫理を選んだ人でも、うっすら覚えているレベルではないでしょうか。大阪教育大学が発行する「発達人間学論叢」に収録された論文で、著者は加藤佳也氏。大阪大学の医学部卒業したのち、現在は大阪教育大学の教授に就いている方です。
「倫理学において、人間は『他者』の『顔』と対面するのが重要」と説くレヴィナスの考えをもとに、弱者が踏みにじられ殺人も当たり前の『北斗の拳』の世紀末世界で、「各キャラの『顔』がどれくらい傷つけられているか」などを事細かに分析するなど、内容は極めて専門性が高いです。しかし、原哲夫先生の紹介文に「横山光輝に匹敵する漫画家」とあり、学術論文ながらも作品愛が伝わってきます。こちらはネットでも閲覧可能です(詳細な『北斗の拳』のあらすじも併記されています)。
以上、「ジャンプ」作品を扱った論文を紹介してきました。「『スラムダンク』における成長の言語ゲーム」以外の3つは、ネットで読めるのでぜひこの後チェックしてみてください。ちなみに、『キン肉マン』(著:ゆでたまご)で検索したところ、機関リポジトリとしては「取締役の監視義務 ―ダスキン肉まん事件を契機として―」という全く別のものがヒットするのみでした。今も連載中の名作が、今後、いかなる角度で研究対象となるのか楽しみです。
(片野)


