今?『ゴールデンカムイ』の命がけ状況でも出たギャグの数々 結構無駄なことしたな…
シリアスなマンガのなかのちょっとしたギャグは、ひと息つけてホッとするものですが、『ゴールデンカムイ』の場合は違います。殺し合い真っ最中の命がけの場面にも容赦なくぶっこまれるギャグの大砲に、「え!」「は?」「今?」と、読者の感情は笑いつつも揺さぶられまくりなのです。
マッパなくして『ゴールデンカムイ』はないのか!?
2022年4月に堂々完結を迎えた『ゴールデンカムイ』は、「感情闇鍋ウエスタン」のキャッチコピーどおり、冒険、歴史、サスペンス、狩猟グルメ、アイヌ文化など様々な魅力に心踊らされる作品です。そんななかでも読者の感情を上下左右に揺さぶりまくるのが、どんな状況でも関係なしでぶっこまれる大胆なギャグ。手に汗握る命がけの場面の真っ最中でも、次ページをめくるといきなりギャグシーン(またはギャグの直後に殺し合いパターンも)という、恐るべき空気の壊しっぷりは当たり前でした。
作者の野田サトル先生は、2015年の映画評論家・町山智浩氏との対談で「シリアスなシーンが続くと『コレ面白いのかな』って不安になって、ぶち壊したくなっちゃうんです。」と語っており、このテイストは基本的にずっと続いています。今回はアニメ化された巻までで飛び出した、これぞ『ゴールデンカムイ』の醍醐味ともいえる、命がけ場面のどうかしているギャグの数々をご紹介します。
●王道感すらあるマッパ(真っ裸)ギャグ
『ゴールデンカムイ』では、必然性があろうがなかろうが、男キャラがマッパになるのは当たり前。シリアスシーンでのフリチンギャグは定番です。
たとえば樺太で鯉登少尉、月島軍曹、谷垣、刺青囚人・岩息が、熊より恐ろしいといわれるクズリに襲われ、ロシア式蒸し風呂のバーニャに逃げ込んだときのこと。外にはクズリでバーニャは灼熱という絶体絶命の状況を、さぁどうする? と思ったら次ページは……なぜか4人ともマッパのどや顔で「バーニャ!!」の謎の大ゴマ。しかもカメラ目線です。かつて「ドルチェ&ガッバーナ」の下着広告に出た、パンイチのアズーリたちを彷彿とさせる迫力の大ゴマでした。
また、杉元、白石、谷垣、キロランケ、尾形、チカパシご一行が露天風呂で都丹庵士率いる盲目の盗賊団に襲われた場面でも、マッパギャグが光りました。そもそも最初からみんなで温泉というシチュエーションが怪しく、ポージング&カメラ目線の見開きまである始末。そして、盗賊襲来で立ち上がった谷垣が敵の方向に振り向くたびに、その股間が白石の頭にぶつかります。命の危機にそぐわない、「ポコン」「ポコン」という音を響かせながら……。
そして、マッパギャグには、美少女・アシリパ(リは小文字)さんも参加します。真っ暗闇の都丹のアジトを手探りで進むなか、全裸の杉元の尻に触れたアシリパさん。「杉元?」といいながら、なぜか尻ほっぺをぐいっと開いて、肛門をあらわにしてしまうのです(白石の顔マークで隠されてはいました)……なぜ?
それ以前に、刺青囚人の辺見がレプンカムイ(シャチ)に沖に連れ去られ、杉元が海に飛びこむためにマッパになったときも、最初は両手で目を隠していたアシリパさんですが、次のコマでは指の隙間をあけて凝視し、杉元に「アシリパさん見ないでッ!!」と叫ばれていました。