はかなく消えていった「ジオン軍」の戦闘用艦艇たち 連邦艦より優れた点もあったが…
ランバ・ラルとマ・クベ、シャアら主要人物が乗った船

●ザンジバル級機動巡洋艦
「ザンジバル級機動巡洋艦」は、月の裏側にあるサイド3と地球にわたる長大な補給線を維持することを目的として開発された艦です。宇宙空間と大気圏内での巡行能力及び、大気圏突入能力とブースターを使用した大気圏外離脱能力を保有したジオン軍唯一の艦として、ランバ・ラルや、マ・クベ、シャア・アズナブルなどジオン軍の主要キャラが乗艦しています。なお、ホワイトベースとは異なりミノフスキー・クラフトは装備しておらず、大気圏内では揚力と熱核動力で飛行しています。
武装としては連装メガ粒子砲1基、固定メガ粒子砲4基、2連装機関砲5門に加え、艦首両舷に超大型ミサイル「Jミサイル」を搭載しています。「Jミサイル」はシャア・アズナブルによって運用され、一撃で連邦軍の艦艇を破壊する威力を披露しました。最初期のランバ・ラル乗艦時には巨大投光器の装備も確認されています。
モビルスーツの搭載数は最大6機とされていますが諸説あり、作中ではモビルアーマー・エルメスの運用も行われているため艦内の容積はかなり余裕があると想像されます。最終話ではキシリア・ザビが脱出に使おうとしてシャアにより艦橋を破壊されるなど、印象深いシーンが極めて多い艦艇といえるでしょう。
●グワジン級戦艦
グワジン級戦艦は、艦隊の旗艦となるべく設計・建造されたジオン軍の艦艇です。ジオン軍のなかでもきわめて強力な戦闘力を持つといわれており、主砲は連装メガ粒子砲3基、副砲は連装小型メガ粒子砲が10基装備されています。そのほか多数のミサイルランチャーや機関砲も装備されており、連邦軍のマゼラン級に十分対抗できる性能となっています。モビルスーツ搭載数は10機から24機と諸説あり、正確な数字は不明です。
大きな特徴としては流麗な外見と、非常に高い居住性が挙げられます。これは基本的にはザビ家の人間と、ザビ家から大きな信頼を寄せられる軍人のみに与えられる艦艇であることが大きく影響しており、緊急時には政府機能をグワジン級に移譲することも考えられていました。また、艦の後部には外部燃料タンクを備えており、長大な航続力を誇っています。後にジオン残党がアクシズなどへの脱出に成功した要因として、グワジンの燃料搭載量の多さが影響している可能性は高いと思われます。
高い性能を持つグワジン級ですが、建造数の少なさと旗艦という重要なポジションを務めていることもあり、実戦に投入された回数は非常に少なくなっています。特に印象的な場面としては、ソーラ・レイの直撃によりグレート・デギンが光に呑まれるシーンが挙げられるでしょう。
(早川清一朗)