「休載多すぎ」な名作マンガ3選 「無理に描けと言えない」理由も
2022年は約4年ぶりにジャンプ本誌で『HUNTER×HUNTER』の連載が再開され、続きを待っていた読者の喜びの声が多く聞かれました。一方で『HUNTER×HUNTER』以外にも、現在も休載が続いているマンガも少なくありません。今回は、読者が完結と作者の事情を心配しているマンガをご紹介します。
休載が長すぎて「完結する?」と心配されがちなマンガとは?

アニメ化も決定している人気マンガ『【推しの子】』のキャラで、漫画家の吉祥寺頼子先生が「基本的に週刊連載って人間のやる仕事じゃないから!」「脳を週刊用にチューンナップされた兵士がやる仕事だから!」と自虐的に叫ぶシーンがあるように、漫画家の先生たちは過酷な日々のなかで必死に創作をされています。
なかにはさまざまな理由から休載に入らざるを得ない作品もありますが、読者としては「それでもやっぱり続きが読みたい……」と思ってしまうものです。休載が長いことで知られている『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博先生は、2022年に開かれた展覧会「冨樫義博展 -PUZZLE-」の直筆コメントにて、「あらゆる動作が常人の3~5倍の時間がかかる」ほど腰が不調なことを明かしています。
それでも、22年11月から「週刊少年ジャンプ」で連載を再開し、読者からは「描いてくれるだけでありがたい」「どんだけかかってもいいから最後までついていきます」と、感謝の声が相次ぎました。
今回は、他にも多い、なんらかの理由から長期休載、不定期掲載となっており、続きがなかなか読めない人気マンガを紹介します。
●2023年には連載20周年だが、コミックスはまだ11冊:『ヒストリエ』
マンガ史に残る名作『寄生獣』で衝撃を与えた岩明均先生が、漫画家としてデビューする前から温めていたとされる歴史マンガ『ヒストリエ』は、2022年8月に発売された掲載誌「月刊アフタヌーン」10月号から、「発売時期未定の12巻の作業をするため」という理由で休載に入っています。
『ヒストリエ』は後にアレキサンダー大王(作中ではアレクサンドロス)の書記官となる人物・エウメネスを主人公に据え、彼の波乱に満ちた生涯を題材にした歴史大作です。史実ではあまり記録が残存していないとされるエウメネスの人生が、迫力あるシーンや巧みな伏線回収を交えて描かれています。
幼少時より恵まれた家庭で書物から知識を得て、神童と呼ばれてきたエウメネスでしたが、義父の死によって出自が蛮族・スキタイ人であったことが明らかになりました。さらに、奴隷として追放された後は船が難破して、たどり着いた村でその危機を救う……という、目まぐるしく展開するストーリーで、世界史にあまり詳しくない人でも、同作に惹き込まれている方は多いようです。
物語はエウメネスが少年から青年になり、書記官としての才能を発揮するまで進んでいますが、近年は隔月連載になり、一部のコマが下書きのまま掲載されたり、掲載されたとしても10数ページで終わってしまうことも珍しくありませんでした。
そもそもの物語が壮大な上に、エウメネスだけでなく、アレクサンドロスのキャラクターを深掘りするようにもなったため、完結するにはまだまだ時間がかかるのではないかと懸念する声も見られます。それでも休載のお知らせの際に、岩明先生は「物語全体を確実に『完結』に辿り着けさせるための思案をめぐらしてゆかねば、と思います」「しばらくお別れとなりますが、いずれは再開いたします」と述べており、作品はたしかにラストに向けて動いているようです。