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悪役より汚い! 少年マンガの「邪道」主人公たち 「でも人気1位」

まだまだいる非王道的な主人公たち

少年マンガには珍しい女性主人公の美神令子も守銭奴、ドSな非王道的なキャラクター。画像は『GS美神 極楽大作戦!!』1巻(小学館)
少年マンガには珍しい女性主人公の美神令子も守銭奴、ドSな非王道的なキャラクター。画像は『GS美神 極楽大作戦!!』1巻(小学館)

●『チェンソーマン』デンジ

 デンジはアニメも好評な大ヒット作『チェンソーマン』の主人公です。満腹になるまでものを食べたい「食欲」、「胸を揉みたい」と呟くむき出しの「性欲」を原動力に突き進む彼もまた、非王道的な主人公です。「少年ジャンプ+」に移籍して連載中の第2部でも、人質を取った悪魔に対し、迷いなく人質を見捨てて攻撃を仕掛ける外道ぶりを見せています。

 主人公より脇役の方が人気が出るのは、少年マンガあるあるですが、デンジも人気はあまりふるわず、公式人気投票の1回目は5位、2回目は4位に着地しています。

●『GS美神 極楽大作戦!!』美神令子

 続いて、少年マンガでは珍しい女性主人公です。『GS美神 極楽大作戦!!』の美神令子は依頼を受け、妖怪や悪霊などを退治するゴーストスウィーパー、いわゆる除霊師。美形で除霊の腕も一流、大金を稼ぐセレブですが、とにかく金にがめつい守銭奴です。

 法外な依頼料を取る一方で、従業員への給料は極度に渋り(助手の横島忠夫は時給250円、おキヌは日給30円)、脱税の常習犯であることがわかる描写まであります。また、戦いでも敵が引いてしまうような卑怯な手段を使うことも多く、仲間から「悪魔より酷い」と言われることもありました。

『GS美神』単体の人気投票は行われていませんでしたが、2019年に行われた椎名高志先生の全作品を対象にした「椎名キャラ人気投票」で、令子は全体3位でした。充分に高順位ですが、『GS美神』のキャラクターでは横島が2位で最上位です(全体1位は『絶対可憐チルドレン』の兵部京介で、作品の人気投票でも1位)。

『GS美神』は、当初戦闘能力皆無だった横島が能力に目覚めて以降、だんだんと彼の方が存在感が強くなっていくので、連載初期に人気投票を実施していたら、結果は変わっていたかもしれません。なお、もうひとりの主人公ともいえる横島も、性欲にまっしぐら(「ちちしりふともも」が口癖)の、王道とはちょっと違う3枚目キャラです。

●『賭ケグルイ』蛇喰夢子

 ギャンブル学園マンガ『賭ケグルイ』の蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)は、容姿端麗で頭脳明晰、丁寧口調の淑女のように見えますが、根っからのリスクジャンキーでギャンブル狂です。指を失う危険性があろうが、命を失う危険性があろうが、ギリギリのギャンブルに快楽を感じる、「頭のネジが飛んでいる系」の邪道主人公と言えます。

 同作の語り手・鈴井涼太は限りなく普通な人で、彼との対比も面白い点です。ちなみに、公式人気投票結果では夢子は5位。1位は、登場人物のなかでは比較的言動が常識的な、早乙女芽亜里(さおとめ・めあり)でした。

 以上、キャラクターと人気投票結果を紹介してきましたが、王道なら人気が出るとも、邪道なら人気が出るとも限らないのが、創作の世界のようです。ただ、1位でも、サブキャラに抜かれても、彼らが「邪道」ながらしっかりと物語を盛り上げていることは間違いありません。

(ニコ・トスカーニ)

【画像】人としてどうかしている主人公に、振り回されるサブキャラたち(8枚)

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