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20世紀のアニソンはなぜ熱かったのか? 歌詞・楽曲・歌い手…それぞれに理由があった

2022年は6月に作曲家の渡辺宙明氏が、12月には「アニソン界の帝王」水木一郎氏が亡くなるという訃報が続きました。20世紀のアニメソングが、とても熱かったことが懐かしく思い出されます。昭和サブカルチャー研究家であり、ものまね芸人でもある剣持光氏に、20世紀アニソンのすばらしさを語ってもらいました。

2022年はアニソン界にとって節目の年に

故・水木一郎氏のアニソンデビュー50周年を記念したアルバム「アニソンデビュー50周年記念ベスト 絶唱 -Z Show-」(コロムビア・マーケティング)
故・水木一郎氏のアニソンデビュー50周年を記念したアルバム「アニソンデビュー50周年記念ベスト 絶唱 -Z Show-」(コロムビア・マーケティング)

 楽しいとき、もしくはちょっとブルーなとき、思わず懐かしのアニメソングを口ずさんでしまうことはありませんか? かつてのアニソンには、気分を盛り上げてくれるノリノリの熱い曲が多かったように思います。

 往年のアニソンには、なぜ胸を熱くする印象的な曲が多かったのでしょうか。昭和サブカルチャー研究家であり、ものまね芸人でもある剣持光氏に、この漠然とした難問に答えてもらいました。

 折しも、2022年6月23日には数多くのアニソンを作曲した渡辺宙明氏が、12月6日には「アニソン界の帝王」と呼ばれた水木一郎氏が亡くなっています。アニソン界にとって、大きな節目の年になりました。両氏の功績を偲びつつ、20世紀のアニソンについて考えてみたいと思います。

「アニキ」は生き方そのものが熱かった

 剣持氏は『ヒデ夕樹とテレビまんが主題歌の黄金期』(ケンケンクリエイト)を自費出版するなど、アニソンが「テレビまんが主題歌」と呼ばれていた頃からの歴史に詳しい方です。肺がんであることを公表し、最後の最後までステージや配信番組で歌い続けた「アニキ」こと水木一郎氏について語ってもらいました。

剣持「ロボットアニメ『マジンガーZ』のテーマ曲などで雄叫びのイメージが強い水木さんですが、歌手としては個性があまりない方でした。個性のなさに悩んでいたこともあったそうですが、歌は抜群にうまかった。個性がないことで、逆にどんな作品の世界観にも合ったんです。水木さんがいなければ、アニソン歌手という存在はなかったんじゃないでしょうか」

 昭和時代のアニメ番組や特撮ドラマは、ジャリ番(子供向け番組)として低く見られていた時期がありました。そんななか、水木氏は『超人バロム・1』『マジンガーZ』『バビル二世』など多くの主題歌を熱唱。ささきいさおさん、子門真人さんと合わせて「アニソン界の御三家」と称せられるようになります。

剣持「ささきいさおさんは、俳優や声優もされています。『およげ!たいやきくん』を大ヒットさせた子門真人さんは、歌手業を離れて広告代理店に勤めることになります。水木さんも一時期は俳優や声優に挑戦しましたが、結局は歌手一本で勝負しています。浮き沈みの激しい歌手業だけで生計を立てるのは、並みの苦労ではなかったはず。辞めようと考えたこともあったと聞いています。つらい時期を乗り越え、水木さんは逃げずにアニソンを歌い続けた。水木さんの生き方そのものが、アニメや特撮ドラマのヒーローのように熱かったんだと思います。熱い生き様が、水木さんの歌からは伝わってきます」

【画像】20世紀のアニメソングを歌い継ぐアニソンシンガーたち(7枚)

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