『ガンダム』で論争になる「公式か非公式か」問題 版元が出した「公式の基準」とは?
サンライズから提示された公式の基準

その答えとは「サンライズで許諾したものはすべて公式である」です。
つまり世の中に出回っている「ガンダム」の名を持つ作品はすべて公式ということ。非公式なものは無版権な二次創作のようなものだけということになります。明確な答えは単純明確なものでした。
ただし、あえて言うならばそのなかでも優先順位のようなものがあります。また時代によって、その優先順位も変わっていくもの。絶対ではありません。
よく言われるのが映像になったものがもっとも優先されるというものです。これに関しては多くのファンも納得できることでしょう。ただし前述したように同じ映像でも違った道を進んだものも少なくありません。こういう時には「一説によると」といった注釈により、どちらかを否定するのではなく、その両方を認める形にします。
実際の歴史でも邪馬台国には大きく分けて畿内説と九州説があり、他にもいくつかの説がありました。現実世界でもそういたことがあるのですから、フィクションである「ガンダム」シリーズでいくつも異なる解釈があるのは当たり前。どちらかが絶対的に正しく、どちらかが抹消されるべき間違いという考え方は適切ではないということです。
人間は誰もが自分が正しいと思う方が正当なものとしたくなるもの。しかし、フィクションの世界だからこそ真っぷたつに分けた考え方ではなく、どちらも尊重する考え方が平和的な解決方法だと思います。
こういった論争が昔より多くなったことも、話題になるようになった一因ですが、それは近年「ガンダム」シリーズがコンテンツからジャンルへと規模を大きくしたこと原因でしょう。さらに誕生から何十年と歴史を積み重ねてきたことで同じ時代を扱う作品も増えていき、徐々に統合性が取れなくなってきたことで、どちらが正しいの?……ということが気になる人が増えました。
しかし、矛盾したとしても否定されるものではない。すべてを是か非かで決めることはしてはいけないのだと思います。同じ『ガンダム』という作品を好きになった者同士、分かり合うよう努力することが作品のテーマに沿った対応なのではないでしょうか。
(加々美利治)



