びっくりしないで。『腸よ鼻よ』は物凄く面白い闘病エッセイ漫画なんです
「次にくるマンガ大賞 2019」のWebマンガ部門で第3位に輝いた『腸よ鼻よ』。潰瘍性大腸炎という、国の指定する難病にかかってしまった作者・島袋全優先生は、大腸の全摘出など、大変な苦労を重ねています。マンガではその闘病が描かれていますが、ただただ面白い。キャラもネタも濃すぎる展開に、果たして皆さんはついてこれるかな!?
健康ネタとギャグを「濃縮」還元

2019年8月に発表された「次にくるマンガ大賞 2019」のWebマンガ部門で第3位に輝いた『腸よ鼻よ』は、潰瘍性大腸炎という、国指定の難病にかかってしまった作者の闘病エッセイマンガです。
実は筆者の知り合いに、島袋先生と同じ病気と診断され、緊急入院と大腸の一部切除を経験した方がいます。血便や嘔吐、絶えず襲ってくる腹痛に耐えながら闘病生活を送っていたそうで、本当に大変だったことでしょう。幸い、彼は快方に向かっていきました。その痛々しさを知っている分、「島袋先生も大変なんだろうな」と思いつつ、第1話を読み始めたんです。
ん、でもちょっと待って。
何だか思ってた闘病記と全然違う。いきなり場末のバーみたいなところにやってきた、バブリーないでたちの島袋先生に、渋めのバーテンダー。横にいる黒人の軍人さんは誰やねん(?)。静かな雰囲気の店内でつぶやく、島袋先生の「あたし 大腸がないの」というそこそこ重いセリフ。そして彼女は、静かな雰囲気の店内で過去から現在までの物語を語り始めます。
シリアスっぽかった展開から1枚ページをめくると、いきなり「トイレのたびに便器が血で真っ赤になるんだよね♪」と、笑顔で語る過去の島袋先生の姿が。通院先では腸炎と診断されるけど、いつまでたっても病状は改善に向かわない。1話目から明らかに体調が心配になる展開が続いて、ようやく彼女は「潰瘍性大腸炎」という難病にかかっていることが判明するわけです。
ここまで見ていると「ものすごいヘビーなマンガだな」と思いますよね。それなのに、ページをめくる手が止まらない。ひとつひとつのエピソードはものすごくヘビーなのに、行間と絶妙な強弱でたたみかけてくるボケ・ツッコミ、他作品のパロディがこれでもかと詰まっていて、毎ページ本気で笑わせてくるんです。
(ベル○ルクとか○牙とか孤○のグルメとか北○の拳とかF○teとか、全部大好きです本当にありがとうございます)
キャラクターも濃い。伝説の特殊部隊員並みの貫禄を見せるベテラン医師と、某人型決戦兵器のルックスと優しい心を持った編集さんが、個人的には大好きです。
毎話冒頭に掲載されている、腸にやさしい食材&レシピはおいしいし、勉強になります。第19話の「きゅうりのおかか和え」はお酒のおつまみに最高でした。健康のためのウンチクもあり、闘病エッセイとしても参考になるけれど、『腸よ鼻よ』はそういう知識を頭の片隅に起きつつ、思い切り笑わせてくれるマンガです。
(サトートモロー)