変身に革命を起こした『宇宙刑事ギャバン』の「蒸着」 子供の「なんで?」を解消!
1982年放送の『宇宙刑事ギャバン』は破格の予算が投入され、今までの東映特撮番組にはなかった新たな要素が満載でした。とくにギャバンがコンバットスーツになる「蒸着」はそれまでの変身プロセスの矛盾を解消し、特撮ヒーロー番組の可能性を広げたのです。
変身のツッコミどころを全て解消!

1982年に放送された『宇宙刑事ギャバン』は、東映特撮番組のなかでも画期的な作品です。特に大葉健二さん演じる一条寺烈が銀色のコンバットスーツに身を包む変身シーン「蒸着」は衝撃的でした。
その変身は『仮面ライダー』から続いてきた変身の矛盾点をなくし、それまでにない新鮮さをもたらしました。蒸着の鮮やかさは現代の特撮番組にも引き継がれています。今回は、『宇宙刑事ギャバン』の蒸着が変身場面にもたらした功績についてご紹介します。
ギャバンの蒸着シーンでは、主人公の烈が「蒸着」と言ってポーズすると、銀色の光を浴びて一瞬でコンバットスーツに変身。その後に「宇宙刑事ギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒に過ぎない。では蒸着プロセスをもう一度見てみよう」というナレーションが入ります。
蒸着ポーズをすることで、超次元高速機ドルギランに烈の要請が届き、ドルギランのコンピュータが「リョウカイ・コンバットスーツ・テンソウシマス」と応答し、コンバットスーツが伝送される仕組みです。一度蒸着した後に再現VTRが流れるのも、ビデオデッキが全国の家庭に普及し始めた頃で、タイムリーでした。
「蒸着」は工業製品の表面処理に使われる技術で、そのネーミングでコンバットスーツになるプロセスがリアルになりました。蒸着によってはじめて変身プロセスに誰もが納得できる理屈がついたのです。
特撮における変身ポーズの元祖は、バイクに乗って変身していた『仮面ライダー』で、2号・一文字隼人役の佐々木剛さんがバイクの免許を持っていなかったために生まれたアイデアです。その場で変身の動作をすれば、仮面ライダーになれるという工程が生まれたのです。変身ポーズさえとれば一瞬でヒーローに変身できますが、無邪気に見ていた子供が少し年齢が上がると、過程が見えないために「おかしいな」と思うようになります。
しかし矛盾を解消しようとして、変身プロセスに理屈をつけたり、プロセスが複雑になったりと、変身場面が間延びすることもありました。1974年『仮面ライダーX』の変身「セタップ」のようにライダーの姿になった上で仮面を被る流れや、1977年『ジャッカー電撃隊』のように強化カプセルに入ることで変身するなど、理論上では納得できても感覚的には受け入れられない視聴者もおり、結局変身プロセスは変更されたり、省略されたりしました。
潤沢な予算で実現したメタリックボディとレーザーブレード
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蒸着は理論においても感覚においても納得できるものであり、かつ当時最新の合成技術が使われていて、スーパー戦隊では物足りなかった年齢の子どもの心をガッチリつかんでいました。当時の特撮番組でも破格の予算が投入され、銀色に輝くコンバットスーツやレーザーブレード、魔空空間などのSF的な映像がふんだんに表現されました。
『ギャバン』人気のおかげで宇宙刑事はシリーズ化され、『宇宙刑事シャリバン』は「赤射」(蒸着)、『宇宙刑事シャイダー』は「焼結」と、変身プロセスのネーミングも引き続き工業用語が使われました。
これらの作品の後も、宇宙刑事は「メタルヒーロー」シリーズとして十数年にわたって放送されました。「メタルヒーロー」シリーズで培った技術や伝統はスーパー戦隊と仮面ライダーにも反映されています。あなたが好きだった宇宙刑事はどれですか?
(LUIS FIELD)

