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『キャプテン翼』アニメ化から40年 いつの時代も「愛される」ための絶妙な工夫とは?

今年でアニメ化40周年を迎える『キャプテン翼』は、今なお新作アニメが放送されるほどの不朽の名作です。それには国内だけにとどまらない、海外の歴史にさえ影響を与えた高い人気にありました。

そもそも「サッカー」を題材にしたワケは?

1983年放送のアニメ『キャプテン翼』を収録した「キャプテン翼~小学生編~ Vol.2」DVD(ハピネット・ピクチャーズ)
1983年放送のアニメ『キャプテン翼』を収録した「キャプテン翼~小学生編~ Vol.2」DVD(ハピネット・ピクチャーズ)

 2023年10月13日は、1983年に『キャプテン翼』がTVアニメとして初めて放送開始した日です。原作マンガも高い人気を誇る作品でしたが、TVアニメ化されることでその人気はいっそう大きなものになりました。そして、その人気は国外にまでおよび、やがて時代をも超えた人気作品となります。

『キャプテン翼』がTVアニメになった時期は、原作マンガでは小学生編も終了して中学生編の静岡県予選決勝戦が描かれた時期でした。当時の「週刊少年ジャンプ」では『キン肉マン』に並ぶ看板作品で、ファンには待望のアニメ化と言えたでしょう。

 しかし、実はこの時のTVアニメ化は当初はそれほど期待されたものではありませんでした。いわゆる「スポコンもの」はもう古いとという意見がTV局内にもあったそうです。ところが、ふたを開けてみれば最高視聴率は21.2%を記録、テレビ東京開局以来のヒット作とまで言われました。

 背景には、作品の持つポテンシャルがあったと考えられます。もともと当時はサッカーを題材にしたマンガのヒット作はほとんどなく、男子のスポーツものと言えば野球がまだまだ王道だった時代でした。それを切り開いたのが、原作者である高橋陽一先生です。

 高橋先生は王道だからこそ野球を題材にせず、あえてサッカーを題材にしました。そして野球マンガで描けないような展開を、サッカーマンガで描くことにしたわけです。その大胆なコマ割りを見れば、確かにサッカーマンガ独特のダイナミックな動きを巧みに描いていました。

 このマンガならではの演出は、アニメにも生かされています。地平線の先に見えるゴールや、選手たちの驚異的なジャンプ力、さらに浮いているのではと思わせる滞空時間の長さ。すべてアニメならではの巧みな演出方法でした。

 もともとサッカーは野球と違って、試合中は常に動き回っている競技です。そのアクティブな動きに、時間が止まっているのではないかと思わせるセリフの長さを加えて『キャプテン翼』は、マンガはもちろんアニメにも通用する作風を確立しました。

 その人気はとどまることを知らず、全128話10クールにわたってTVアニメは放送されます。しかし連載中のTVアニメ最大の懸案事項である「原作に追いつく」ということになり、TV放送は残念ながら中学生編最後の全国大会で終了しました。しかし、その後のジュニアユース編は1989年から発売したOVA『新キャプテン翼』全13巻にて完結します。

「ジャンプ」での連載もジュニアユース編で完結し、最終回を迎えました。しかし、その後も『キャプテン翼』自身が生み出したサッカーブームに支えられて、何度となく続編が作られ、現在もなお原作マンガは掲載誌を変えて連載中。その人気はいまだに続いています。

 この『キャプテン翼』で特筆する点は単なるブームだけにとどまらず、多くのコンテンツに影響を与えた点にあるのでした。

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