実写映画『ゴールデンカムイ』の見どころは? 「透明感の暴力」山田杏奈がブレイクの予感
冒険に深みを与える、アイヌ独自の狩猟文化

開拓期の北海道を舞台にした『ゴールデンカムイ』が大ブームを呼んだ要因として、それまでポップカルチャーとしてはあまり扱われなかった「アイヌ文化」を、分かりやすく物語に取り込んだことが挙げられます。杉元とアシリパは出会って早々、夜の雪山で凶暴なヒグマと闘います。アイヌ流の狩猟方法に詳しい、アシリパが大いに活躍します。
かろうじて人喰いグマに勝利する杉元たちですが、アシリパは人を殺したクマは食べないと言います。狩った動物は肉だけでなく、内臓や毛皮も大切に扱うことでその命をアイヌ人は尊びます。しかし、人を殺したクマは悪いカムイ(霊的存在)になると言うのです。
北海道の先住民であるアイヌの独特の死生観やサバイバル術を学びながら、杉元は環境に適応し、金塊探しを続けることになります。杉元とアシリパとの民族や性別を超えた友情は、『ゴールデンカムイ』の大きな魅力となっています。
アシリパ役の山田杏奈さんの見せ場は、シリアスな演技だけではありません。野生動物たちをアイヌの伝統的な調理方法で食するシーンでの、杉元とのやりとりにはほっこりさせるものがあります。戦場帰りの杉元は、アシリパの天然ぶりに心を癒されたのではないでしょうか。
エンドロール後まで見逃せない実写版
歴史上の史実や実在した人物が物語に関わってくる点も、『ゴールデンカムイ』の面白さです。杉元&アシリパと行動をともにすることになる白石(矢本悠馬)は、「脱獄王」と呼ばれた実在の人物・白鳥由栄がモデルとなっています。
白石役の矢本さんが全身に油を塗り、ヌルヌル姿になって、第七師団に監禁された杉元を救出に向かうシーンも見どころです。五稜郭の戦いで戦死したはずの土方歳三が実は生きていたなど、史実とフィクションとの「ごった煮」となっています。
今回の実写映画は、「大冒険の始まり」といった趣きです。原作やアニメシリーズでは、埋蔵金のありかを知る重要人物・のっぺら坊が収監されている網走監獄への潜入劇、さらには日露戦争後のポーツマス条約によって当時は南半分が日本領となっていた樺太まで大縦断することになります。
日本の近代化やロシア革命まで絡んだ、スケールの大きな物語となっていく『ゴールデンカムイ』。物語の行方を左右するキーパーソンたちも顔を見せるので、映画はエンドロール後まで見届けることをおすすめします。アイヌの言葉でオソマ(うんこ)と呼ばれる食材を、山田杏奈さんが実にチャーミングに味わうシーンも見逃せません。
映画『ゴールデンカムイ』
原作/野田サトル 監督/久保茂昭 脚本/黒岩勉 音楽/やまだ豊
出演/山崎賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、渡辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
配給/東宝 2024年1月19日(金)より全国ロードショー
(C)野田サトル/集英社 (C)2024 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
※アシリパの「リ」は小文字が正しい表記
※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正しい表記
(長野辰次)





