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『この世界の片隅に』すずはなぜ愛されるのか 現代人の「かけがえのない存在」

すずとリン、女同士の不思議な友情

それぞれの世界で生きる女性たち (C)2019 こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
それぞれの世界で生きる女性たち (C)2019 こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 多くの人に愛されている劇場アニメ『この世界の片隅に』が、さらに長尺となった『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』では、遊郭に勤める白木リン(CV:岩井七世)の登場パートが大幅に増えています。リンと周作との間にかつて大人の関係があったことを、すずは知ってしまいます。周作をめぐるリンとすずとの関係性が、物語の新しい軸となっています。このことから、すでに『この世界の片隅に』を観ている人も、ずいぶんと異なる印象を受けるはずです。

 新しく加わったシーンの中でより印象的なのが、リンとすずが花見を楽しむ場面です。リンは高い所に登るのが得意で、着物姿ながら桜の木に上がり、木の上からこの世界を眺めます。実はリンは幼い頃に、すずとはすずの祖母の家で逢っていました。そのときのリンは天井裏に潜んでおり、すずが持ってきたスイカを天井裏から降りておいしく食べています。

 すずも、リンも、お互いに相手がそのときの女の子だったことには気付いていません。でも、北条家に嫁入りしたすず、遊郭に売られたリン、世界の片隅でそれぞれ懸命に生きてきたふたりの女性の心が満開の桜の木の上で触れ合うことになるのです。とても美しく、そして儚いシーンとなっています。

【画像】おっとりした魅力の「すず」と遊郭で暮らす「リン」(10枚)

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