『Zガンダム』ジオン大嫌いティターンズとジオン残党アクシズはなぜ同盟交渉できた?
ポイントは「負けたらあとがない」戦いであること

ティターンズの本拠地は元々、地球連邦軍の本部があるジャブローにありました。そこへ、エゥーゴ殲滅のために核爆弾のトラップを仕掛けたことも裏目に出ています。作戦は失敗し、エゥーゴの主力は取り逃がした上に、本拠地が使えなくなったのです。
本来、地球至上主義であるティターンズは地球に地盤や支持勢力があるはずですが、このことにより自ら手放してしまったとも考えられます。新しい本拠地は、ジオン軍の宇宙要塞「ア・バオア・クー」を改装した「ゼダンの門」に構えたものの、こちらも宇宙要塞「アクシズ」に体当たりされて、喪失してしまいます。
その上で、劣勢を覆すために、宇宙での重要軍事生産拠点だったスペースコロニー「グリプス2」をコロニーレーザーに改造していますから、末期ティターンズの生産力は極端に低下していてもおかしくありません。
そうした流れを考えると「モビルスーツの開発・生産能力」を艦内に持つ、超巨大輸送艦「ジュピトリス」を持つシロッコが優遇されるのは当然といえます。
なお『Z』の戦争である「グリプス戦役」とは「地球連邦軍同士が、地球連邦政府の主導権を奪い合っている」戦いですから、エゥーゴとティターンズは負けた方が消滅します。「自分たちが消滅するよりは、気にいらない外国とも手を結んだ方がいい」という観点で、アクシズとの同盟交渉が行えたとも考えられます。
また「地球至上主義では戦えない」という冷厳な事実もあるでしょう。幕末には「尊王攘夷」を掲げて、圧倒的に不利な武器で、薩摩(今の鹿児島県)がイギリスに挑んだ「薩英戦争」が勃発しました。その大敗により、薩摩は「気合いだけでは勝てない」ことを学んだわけです。
宇宙世紀における「学ばないと戦争に勝てない」筆頭は「ニュータイプの活用」でしょう。強力なニュータイプを強力なモビルスーツに搭乗させないと、戦線が敵ニュータイプ兵士の圧倒的実力により崩壊してしまうということです。
ティターンズはムラサメ研究所など、人工的なニュータイプである「強化人間」を作る軍事施設も抱えていましたが、「フォウ」や「ロザミア」といった強化人間は精神的に安定せず、かつニュータイプよりも能力では劣るため、結局「負けないためにニュータイプに頼る」必要があります。それがシロッコらの抜擢なのでしょう。
合理的な行動よりも、思想を優先させて政治的敗北を喫したのがティターンズともいえるわけです。
一方、アクシズがティターンズとも組めるのは「連邦が分裂している状態が理想」「コロニーレーザーを自陣営に置きたい」というのが理由でしょう。エゥーゴが力を持ちすぎるくらいなら、ティターンズとも手を組める、ということです。
(安藤昌季)


