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この父親がヤバい!? 主人公を超える存在感の父親4選 時代を映すその描かれ方

最近のアニメやマンガ作品は「父親の影が薄い」といわれていますが、本当でしょうか。圧倒的な存在感のあるヤバい父親たちを挙げつつ、時代につれ変わりゆく、あるいは変わらない「父親像」を見ていきます。

主人公を喰いかねない「強烈なオヤジ」たち!

 アニメやマンガの中の父親像は多種多様で、その役割や描かれ方は時代と共に変化してきました。「この父親がヤバい」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべたでしょうか。特に記憶に残る父親たちと、そのあり方を見ていきます。

●星一徹 『巨人の星』

講談社漫画文庫『巨人の星』第6巻(講談社)
講談社漫画文庫『巨人の星』第6巻(講談社)

 1966年に「週刊少年マガジン」(講談社)にて原作マンガ(原作:梶原一騎/作画:川崎のぼる)の連載が始まり、その後アニメ化された『巨人の星』の「星一徹」といえば、ちゃぶ台返しや体罰などで知られる、昭和の頑固親父の代表のようなキャラクターです。

 戦争での負傷が原因で巨人軍を退団した一徹は、自分の夢を息子の「飛雄馬(ひゅうま)」に託し、「大リーグボール養成ギブス」の着用を強制するなど虐待のようなスパルタ教育を施します。飛雄馬は一徹に反発しながらも指導を受け入れ、遂に巨人軍入団を果たしました。

 その後、飛雄馬が独り立ちすると、一徹は中日ドラゴンズのコーチになって飛雄馬を超える選手を目標に、「オズマ」や「伴宙太(ばん ちゅうた)」を鍛え上げます。師匠の立場から降りて、息子とライバルの関係になったのです。

 星一徹と星飛雄馬の親子関係は極めて濃厚です。たとえ衝突しても、両者には優れた野球選手になるという共通目的があるため、人間関係が途絶えることはありません。父親が息子に夢を託して厳しく教育し、息子もそれに応えて成功する姿は、戦争から復興する力強い時代を反映しているようです。

●ジン・フリークス 『HUNTER×HUNTER』

 1998年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載が始まり、その後アニメ化された『HUNTER×HUNTER』(原作:冨樫義博)の凄腕ハンター「ジン=フリークス」は、星一徹とは正反対の父親でしょう。ジンは息子「ゴン」の教育や人格形成に全く関わっていないからです。

 その原因は主にジンの従妹(いとこ)でゴンの母親代わりの「ミトさん」にあります。彼女は裁判で物心つく前のゴンの養育権を奪い取り、ジンのことを一切、教えませんでした。それどころか、ジンのことを「息子を捨てた男」と刷り込んでいたくらいです。それほどまでにジンの後を追ってほしくなかったのでしょう。一切語られていませんが、ジンとミトとの間には何らかの軋轢(あつれき)があったと思われます。

 しかしゴンは偶然出会ったハンターの「カイト」に父親のことを教えてもらい、「子供を捨ててまで続けたい」ハンターという職業に強い憧れを抱きます。こうして父親を知らない子供がまだ見ぬ父親に会うため冒険へ出発しました。

 そのようなゴンがジンを見つけだしたのは、幾多の冒険を乗り越えて一人前のハンターになってからのことです。ジンはカイトを通じて間接的にゴンの人格形成に寄与したといえますが、これは偶然の産物に過ぎません。もしもゴンがカイトと出会っていなければ、ジンの存在感は皆無だったはずです。

 養育権の問題があったにせよ、自分の目的(仕事)に集中し、息子の教育に全く関わろうとしないジンには、平成世代の父親像が反映されているようです。

 また、息子には父親のようになってほしくない、という母親(ミト)の思いを消極的に肯定してしまっている父親(ジン)の構図には考えさせられます。『巨人の星』から約30年が過ぎ、父親の影響力が弱まった時代を反映しているようです。

【画像】閲覧注意 こちらが「ヤバい父親」と聞いて多くが浮かべるであろう「満面の笑顔」です

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