主人公っぽくない主役に「え、ウソだ…」罠すぎる伏兵で視聴者を困惑させたアニメ3選
物語の主人公は、タイトルや冒頭の流れからすぐに見分けがつくもの。しかし作品によっては、意外な人物が「物語の中心」に据えられていることもあるようです。
そっちが主人公だったんかい!

主人公とは物語の中心に立つ、いわば作品の顔ともいえる存在です。しかし、その常識を覆すような「主人公らしからぬ主役」も少なくありません。いままで主人公だと思っていたその人物は、果たして本当に主人公なのでしょうか?
●ガールズ落語家マンガの主役はまさかの……
「別冊少年マガジン」(講談社)で連載されていた『じょしらく』は、『さよなら絶望先生』の久米田康治先生と人気イラストレーターのヤスさんがタッグを組んだガールズ落語家マンガです。女子落語家たちがゆるい楽屋トークを繰り広げる内容となっており、2012年にはTVアニメ化もされました。
メインキャラクターとなる5人のうち、誰が主人公かと問われれば、恐らく多くの人が「蕪羅亭魔梨威(ぶらてい まりい)」を思い浮かべるでしょう。実際、キービジュアルや扉絵のセンターを飾るのはほとんどが魔梨威で、単行本1巻の表紙にも彼女が描かれています。
しかし単行本3巻の巻末で原作者の久米田先生が明かしたところによると、本作の主役は「防波亭手寅(ぼうはてい てとら)」なのだそうです。常識人ポジションにあり、特別目立つ個性を持たない手寅を主役に据えた理由について、久米田先生はコミックナタリーのインタビューで「強い主役にしちゃうと大人数の場合はなかなかまとまらない」「主役は無属性ながらも『こいつには何かあるな』みたいな感じにしておくのが、いちばん物語を作りやすい」と語っていました。
●実はレオが主人公ではない『血界戦線』
2015年にTVアニメ化された『血界戦線』(作:内藤泰弘)も、主人公を勘違いされやすい作品のひとつです。異界と現世が混じり合う街「ヘルサレムズ・ロット」を舞台に、超人秘密結社「ライブラ」の活躍を描いた本作は、「神々の義眼」を持つ少年「レオナルド・ウォッチ(通称:レオ)」を語り部に物語が展開されます。
そのため多くの人がレオを主人公だと思いがちですが、真の主人公は「ライブラ」のリーダーである「クラウス・V・ラインヘルツ」です。単行本1巻の表紙を飾っているのもクラウスであり、アニメ放送当時のニュース記事などでも彼が主人公として紹介されていました。
しかしアニメ第1期は謎の少女「ホワイト」とレオの交流をオリジナル要素として随所に描き、クライマックスも彼女をめぐる物語で締めくくられます。その結果、もはや「レオが主人公」といっても過言ではない構成となっており、多くの視聴者を惑わせたのです。実際、ネット上にも「『血界戦線』の主人公ってクラウスなん?」「レオが主人公じゃないのは罠すぎると思う」といった声が多く見られました。
●タイトルに名を冠するも?
主人公はアカメか? タツミか? そんな議論がしばしば交わされるのが、『アカメが斬る!』(原作:タカヒロ、作画:田代哲也)です。
非情の殺し屋集団「ナイトレイド」の活躍を描く本作は、一見するとタイトルにも名を冠する「アカメ」が主人公のように思えます。ところが物語全体を通してみると、彼女の出番は意外と少なく、アニメ放送当時には「アカメが斬らない」と揶揄(やゆ)されることもありました。代わりに物語の中心として描かれていたのが、アカメと同じナイトレイドの一員である「タツミ」です。
そもそもアカメは物語開始時点ですでに完成された戦士で、成長の余地がほとんどありません。一方、剣士として未熟なタツミは、仲間との出会いや戦いを通じて成長していくキャラクターです。物語構造の観点から見れば、タツミの成長譚こそが本作の軸であり、アカメは彼を見守る傍観者のような立場にあります。どちらが主人公かというよりも、『ドラえもん』における「ドラえもん」と「のび太」の関係に近いといえるかもしれません。
(ハララ書房)
