セイラがカミーユを導く…? 『Z』が一変する幻の「トミノメモ」その驚愕の内容とは
アムロがギレンを射殺! シャアは妹に遺言を残して死亡!?

トミノメモによると、最終話のサブタイトルは「ジオン殲滅 パートII」となっており、TV放送版とは全く異なる物語が展開されます。トミノメモの「ア・バオア・クー」は「要塞基地であると同時に軍事工廠のおかれているサイド」「要塞都市」とされています。岩石ではなくスペースコロニーのイメージなのかもしれません。
戦いの中、「ホワイトベース」は「グワジン」と接触し大破、「ガンダム」も「ギガン(モビルスーツと地上砲台の中間のようなメカ)を打ち倒し大破してしまいます。アムロはシャアと合流し、拳銃一丁で「ギレン親衛隊」と戦いながら走ります。
「ブライト」「セイラ」「ミライ」を含むホワイトベースの搭乗員も生身で戦い、次々と負傷し倒れていきます。そして遂にアムロは「ギレン」に辿り着きました。
しかしギレンは既にア・バオア・クーの自爆スイッチを作動させていたのです。アムロはニュータイプ能力で起動までの猶予が1分30秒しかないことに気づくと、即座にギレンを射殺します。直後にギレン親衛隊の射撃をうけたアムロは「どうと倒れる」のですが、ララァの呼びかけに応えながら「破壊されたガンダム」にたどり着きました。そしてニュータイプ能力で負傷したり昏倒したりしているクルーに脱出を呼びかけます。
「フラウ! フラウ! 僕の大好きなフラウ! 頑張ってくれ。Wベースに戻るんだ。」「カイさん、ハヤトさん! 死んじゃうぞ! 起つんだ! 起ってくれ!」
トミノメモにはこの時のシャアとセイラの会話も詳細に記述されています。
「あ、…アムロに伝えてくれ。いい少年だと…」「…アルテイシア…、いい女になれよ」「もう頑張らなくていい。いい時代が開ける。」「アルテイシア…愛している」
トミノメモにはシャアの生死について記述はないながらも、セリフのたどたどしさからシャアが負傷し、妹に遺言を残したように読み取れます。そしてなによりも直後の「セイラ、いや、アルテイシア。ダイクンは走った!」という記述に注目です。兄を看取って走り出すセイラの姿がありありとイメージできます。
その後、ホワイトベースのクルーとアムロは爆発するア・バオア・クーから脱出し、ジオンと連邦の和平交渉が成立しました。
●打ち切りから伝説に!
こうしてトミノメモの内容を追っていくと、シャアを生存させたこと、ララァやアムロとの関係性を強化したこと、神の声を削除したことが後のシリーズに繋がる大きなターニングポイントだったといえます。話数圧縮のため「バッカデリア」や「ダルダン」、「ゴラ」といった新たなニュータイプの出番を削ったことも功を奏したようです。
もしもトミノメモの展開のまま続編を作ったら、シャアの代わりにセイラが「アルテイシア・ダイクン」として歴史の表舞台に立つ『Zガンダム』になったでしょう。セイラがカミーユを教え導くのです。「パプテマス・シロッコ」や「ハマーン・カーン」が敵に回らない可能性もありえます。
アムロについては、直接ギレンを手にかけている点が問題になりそうです。「ミネバ・ザビ」やジオン残党が絡む後々の展開に大きく影響があるかもしれません。
もっとも打ち切りにならなかったとしても、トミノメモの展開がそのままフィルムになったとは限りません。実際は脚本家やデザイナー、アニメーターとの共同作業なので、その内容は制作中に変化していくからです。
トミノメモは富野監督の思想がストレートに反映されていますが、決して「純粋な本当のガンダム」ではありません。最初期の企画や構想を知るための貴重な資料として参考にするのがよいと思われます。
(レトロ@長谷部 耕平)


