なぜこんなハマる? マンガ実写版でイケメン俳優が演じた「イッちゃってる悪役」たち
原作ファンも大納得のカリスマ的ヒール

●『ゴールデンカムイ』玉木宏
2022年4月実写映画化が発表された瞬間に、ネット上でのキャスト予想が盛り上がった『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)では、なかでも稀代のカリスマ性を持つ悪役として部下も読者も心酔させてきた「鶴見中尉」のキャスティングに注目が集まりました。香川照之さん、堤真一さん、北村一輝さん、安田顕さん、遠藤憲一さんなどの強面よりの俳優たちの予想に反して、抜擢されたのは爽やかイケメンの玉木宏さんです。
玉木さんといえば、『のだめカンタービレ』のエリートなのにややボケキャラの「千秋」先輩や、NHK朝ドラ『あさが来た』のヘラヘラしながらも器の大きい主人公の夫役など、いい人イメージが強い俳優です。しかし、キャスト発表と同時に公開されたビジュアルで、その杞憂は吹き飛びました。額を保護する白いプロテクターも、目元に広がる火傷の跡も、そして「イッちゃってる感」ただよう目つきも、鶴見中尉そのものです。
もちろん玉木さんは、2024年1月公開の映画本編でも、強烈な演技で魅せてくれました。山崎賢人さん演じる主人公「杉元佐一」の頬をなんの前触れもなく団子の串で貫いたり、脳汁を滴らせながらいきなり上官の指を噛みちぎったり……冷静かと思いきや突然発現する鶴見の狂気を、見事に再現してくれます。さらに、落馬した後に間髪入れずに猛スピードで走るというアクションも再現し、見事な身体能力を発揮しました。
原作ファンからも、「本物すぎる」「鶴見中尉は実在した」「度肝抜かれるくらいの快演」などと絶賛の嵐です。ちなみに映画のパンフレットによれば、原作者の野田先生も「鶴見中尉役は玉木さん」と熱望していたそうです。
2024年秋からは続編のドラマがWOWOWにて放送予定で、はく製職人の「江度貝弥作」を懐柔する手腕など、カリスマあふれる玉木さん版の鶴見の大活躍が期待されます。いずれは、日露戦争で怪我を負う前の端正な顔の鶴見中尉も再現してくれると思うと、楽しみで仕方ありません。
(古屋啓子)