『マジンガーZ対暗黒大将軍』お子様を大興奮させたメディアミックス戦略とは 公開50年
実は映画の前にお披露目されていた「グレートマジンガー」

グレートマジンガーのデザインは映画に先駆けて発表されており、このことは当時の子供にはよく知られた事実です。なぜなら子供向け雑誌「テレビマガジン」(講談社)1974年4月号から始まった読者企画「マジンガーズクラブ」の会員証に、グレートマジンガーの顔がデザインされていたからでした。
もっとも、この時にグレートマジンガーであるという発表はなく、筆者たち当時の子供は「マジンガーをデザインしたマーク」程度に思っていたわけです。この見慣れたマークが数か月後にニューヒーローとして現れました。この感動は当時を知る人ならばわかってくれると思います。
ちなみにグレートマジンガー発表後の「テレビマガジン」には、以下のような記述がありました。「カードのデザインは兜十蔵博士の残した資料にあったもの(中略)それがグレートマジンガーの設計図でした」……この記述に子供たちは大いに興奮したものです。
どうしてこんなことができたかといえば、『グレートマジンガー』の企画自体はずいぶん前から決まっていたからでした。実は『マジンガーZ』の人気が高すぎたため、後番組と切り替えるタイミングを何回か逃したからだそうです。
なおこの『グレートマジンガー』、当初は『ゴッドマジンガー』というタイトルでした。このタイトルが変更になった理由は、同時期に放送されていた特撮ヒーロー番組『仮面ライダーX』の敵組織が「GOD」だったからです。これは同時期だから外しただけであり、後に別番組として内容を一新した『ゴッドマジンガー』が企画されています。
このグレートマジンガーのお披露目が、『対暗黒大将軍』編のサプライズというわけです。苦戦するマジンガーZを、ニューヒーローのグレートマジンガーが助けます。劇場版は新旧主役の交代劇としての意味合いが強いわけです。
しかし、だからといってマジンガーZがただの引き立て役で終わるわけではありません。あくまでも主役はマジンガーZで、主人公は「兜甲児」です。この甲児が何度も窮地を乗り越えるさまが劇場版の見どころといってもいいでしょう。
その感動が多くの人の心をとらえ、現在まで半世紀以上の間、語られることになるわけです。それは多くの作品にも影響を与え、いくつかのオマージュ作品や、オマージュシーンを生むことになりました。
そして、マジンガーシリーズの人気は不動のものとなり、これ以降は「東映まんがまつり」のたびに新作劇場版が制作されることになります。逆にそれまで劇場用新作を製作してきた「仮面ライダー」シリーズは一時休止となりました。
人によって、本作を劇場版ロボットアニメの最高傑作と呼ぶ人も少なくありません。後の世代にも観てもらいたい、名作映画のひとつだと筆者は思っています。
(加々美利治)










