覚えていないのも納得…? これが『超獣機神ダンクーガ』のあまりに衝撃的な最終回だ
あれっ、ラスボスとの戦いは?

最終話「最後の咆哮」では、獣戦機隊のほかのメンバーたちが気遣うなか、沙羅が悲しみから立ち上がり、帝国との戦いに決着を付ける決心を固めます。目標は超技術により異空間にあるゾルバドス星に逃亡していたルーナと、その星にいる帝国の将軍たちです。しかしダンクーガといえど、ゾルバドス星のある異空間へ突入してしまっては帰還する方法がありません。それでも獣戦機隊メンバーは、戦い続ける道を選ぶのです。
獣戦機隊のメンバーたちは異空間での激しい戦いの末、なんとかルーナや「ギルドローム将軍」を倒すことに成功します。しかしラスボスであるムゲ帝王のもとまでは到達せず、彼らが地球へ無事に帰還したのかも結局わからずじまいでした。
一方、地球では獣戦機を開発した「葉月博士」とその養女「ローラ」が彼らの帰りを信じ、祈りを捧げていました。そして「お兄ちゃんたちみんな元気で帰ってくる、そうだよね?」「ああそうだとも、きっと帰ってくるさ。彼らのことだ、きっと帰ってくる」などのやりとりが描かれると、やがて星々が煌めく宇宙をバックに「完 THE END」の文字が浮かび上がります。そう、物語はここで終わるのです。ラスボスとの最終決戦が描かれない最終回に、当時多くの子供たちが困惑したのではないでしょうか。
そもそも当時のTVアニメは1年以上の長期放映が主流だったのにもかかわらず、『超獣機神ダンクーガ』は全38話、およそ8か月で最終回を迎えています。いわゆる「打ち切り」です。その理由については大人の事情がたっぷりと詰まっており、決して人気がなかったわけではありません。
その証拠にTV放送終了後、『超獣機神ダンクーガ 失われた者たちへの鎮魂歌』『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』、そして完結編となる『超獣機神ダンクーガ 白熱の終章』と計3本ものOVAが制作されました。OVAでは、TV版では倒せなかったムゲ帝王ときっちり決着を付け、蘇ったシャピロとも再び対面する展開が描かれています。さらに2007年には『獣装機攻 ダンクーガ ノヴァ』という、本編の200年後を描いた正当続編も放送されました。
また同作のロボットやキャラクターは、スーパーロボット同士が夢の共演を果たす大人気ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズにも登場しているほか、2015年には「METAMOR-FORCE 超獣機神ダンクーガ ダンクーガ」、2017年には「超合金魂GX-13R 超獣機神ダンクーガ(リニューアルバージョン)」、そして2023年には「THE合体 HAGANE WORKS ダンクーガ」など、近年にも同作の大人向け高額立体化商品が多数、制作されています。放送から数十年以上経った今でも、ロボットアニメファンのあいだでコアな人気を保っている印象です。
当時はあまりにも大人びた内容に、なかなか面白さを見出せなかったという人も大人になった今、改めて振り返ってみるとその面白さに気付けるはず。気になる人は、配信サイトなどでぜひ『超獣機神ダンクーガ』を観返してみて下さい。
(ハララ書房)