『閃光のハサウェイ』そもそもなぜハサウェイはテロリストになっちゃったの?
テロリスト以外、道がない

しかし残念ながらハサウェイが成人した時期には、すでにジオン残党軍は大半が消滅しており、ある程度の規模となると火星に落ちのびた勢力が残っているくらいです。戦う敵がいないからこそ、地球連邦軍も政府も腐敗したのであり、無謀であってもハサウェイが理想を追うなら「テロで腐敗した連邦を討つ」以外に道がありません。あまりにも険しい道のりです。
もちろん、アムロについてもハサウェイは学ぼうとしていたはずです。しかし『閃光のハサウェイ』の時代、ニュータイプは地球連邦の情報操作により「存在が疑われる」程度の扱いとなっており、新規情報の入手は困難となっています。アムロが残した言葉などもおそらく封印されているか、加工された内容となっている可能性が高く、生のアムロを知っているハサウェイからすれば不満を感じるのではないでしょうか。
しかもハサウェイの父親であるブライトは、アムロをはじめ「カミーユ・ビダン」「ジュドー・アーシタ」たち伝説のニュータイプを指揮していた人物です。もちろんブライトであればニュータイプについての資料を用意するのはある程度、可能でしょうが、ブライトとハサウェイの親子がニュータイプについて調べていることがバレれば、地球連邦の上層部は警戒するでしょう。最悪、暗殺される危険性すら出てきます。
加えてハサウェイは「シャアの反乱」において、「訓練を受けずに出撃し、1機撃墜」という極めて特殊な経歴を持っています(映画『閃光のハサウェイ』における表現。チェーン機のことではない)。アムロたちの先例もあるため、「ハサウェイは強力なニュータイプではないのか?」と考える人間が出てきてもおかしくはないでしょう。こう材料を列挙していくと、仮に地球連邦軍に入っても冷遇される可能性が高く、内部からの改革などもできようはずがありません。
結局のところハサウェイは、理想を追うと決めた時点でテロリストになるしかなかった男なのです。まっすぐで礼儀正しく、世界のことを考える余裕がある知性と理性の持ち主が、最後は暴力に走るしかない。地球連邦が支配する「ガンダム」の世界はそれだけ追い詰められているのでしょう。
(早川清一朗)







