『閃光のハサウェイ』そもそもなぜハサウェイはテロリストになっちゃったの?
おなじみブライトさんの息子、ハサウェイ・ノアは、大人になってテロリストになってしまいました。なぜ、そのようなことになってしまったのかを紐解くと、そうならざるを得なかったもっともな理由が見えてきます。
ハサウェイの理想はシャアへの共鳴
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』で主役を務める「ハサウェイ・ノア」は、軍人ではなくテロリストとして活動し、地球連邦に制裁を加えています。なぜハサウェイはテロリストとして戦うのでしょうか。
そもそも「テロリスト」とはいったい何なのでしょうか。語源となる「テロリズム」とは、「政治的な目的を達成するために暴力および暴力による脅迫を行なうもの」とされており、テロリズムを実行する人間が、テロリストという位置づけとなります。
「マフティー・ナビーユ・エリン」を名乗り、地球連邦政府の要人を暗殺したあと、地球をクリーンにするために人類のすべてが地球から出ていく政策を実施させるのを最終目標とするハサウェイの存在は、間違いなくテロリストです。
しかしハサウェイは地球連邦軍の英雄である「ブライト・ノア」の息子であり、母親もかつての名家、ヤシマ家出身のため、むしろさまざまな特権を行使できる側の人間でもあります。現実社会でもテロリストのリーダーを務めるのは理想を抱いた高学歴の事例が多いため、ハサウェイの行動がおかしいとは言い切れませんが、少々、唐突な感は否めません。そもそも、なぜ彼はかような「理想」を抱いてしまったのでしょうか。
まず大きな原因としては、映画『逆襲のシャア』にも描かれた「シャアの反乱」を多感な時期に体験したのが大きいでしょう。特に同作中の、「シャア・アズナブル」と「アムロ・レイ」が宇宙コロニー内で遭遇し殴り合いをしていた場面では、ハサウェイも同行しています。ハサウェイからすれば雲の上の存在のようなふたりが、理想と現実を叫び合いながら生身で戦う光景は、忘れられないものとなったでしょう。
なお小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』では、ハサウェイはシャアの反乱時点でニュータイプとして覚醒しており、眼前で戦死した「クェス・パラヤ」をはじめとして、戦場で死んでいく多くの魂の声を聞いています。このことは反乱終結後、ハサウェイにシャア・アズナブルについて学ぶ動機を与えており、結果として、「人類を産んだ地球を滅亡させてはならない。保全すべきだ」というシャアの理想に共鳴するに至りました。